「僕は愚か者だ」
学校の帰り道に公園に寄ろうと言った集についていった。ベンチに座ってお互いの痴話話に花を咲かせた頃だ。急に、唐突に、前の言葉を言った。どうして、泣いてるの?隠し事は無しなんだから、話してよ。溢れる涙を止める術を知らないのかそのままわたしを見つめる。
「僕は愚か者なんだよ」
同じだ。伝えたいことがわからない。
「誰にも、…嫌われたくない。そう、思って生活してたのに。駄目なんだ。それじゃあ。皆が望む僕でないと。…だけど、なまえ。…きみにも嫌われたくないんだ。僕がこのまま違う人になったらきみは離れていくだろう?」
そんなことない。追い詰められていたんだね。気づいてあげられなくてごめんね。
「だから、……なまえの心を知りたい。なまえが欲しいんだ」
泣きながら何を言っているんだろう。涙に魅せられてちゃ駄目だ。集はわたしを欲しがって、わたしのヴォイドを抜こうとしている。いい?なんてもう拭って笑ってるなんて。騙されていたの?
「愚か者でごめんね」
愛無しの嘘言葉
それじゃちょっと黙ろうか