「お願い、そこで黙って見ていて」
事の発端は何だっただろうか。なまえと黒子は良き恋人同士なはず。少なくとも黒子はなまえを理解したつもりでいた。そう、つもりで。
やめてください、掠れた声もなまえには届かない。実際喉はカラカラで声も発せない。これは目の前のなまえの能力のせいにしてしまいたかった。結局黒子はなまえの持つ不思議な能力に恐怖を抱いていたかもしれない。確証はないが、そう思ってしまうのだ。
いつから?なまえを愛せなくなった。
歪んでいく空間と共に、なまえと黒子も堕ちていけたら。
ああ、なまえは還ってしまう。魂の根源へと。
「…そんなの、嫌だ…!」
届け、届け。塞き止めろ。還るな。返るな。きみが帰る場所は僕が、僕らが…。
存在証明をしたかったの。
ありがとう、黒子くん。
「でもちょっと遅かったなぁ…」
屋上から消え去ったきみは光に包まれた。
また一から始めなきゃ駄目なんですね。今度こそはきみを、