前回に引き続き俺がナレーションを務めるっス、なんつって。まあそんなこんなで一応平穏な日は続いていくんスけど、やっぱり誰も俺にかまってくれないってのがあるわけで。あれだけ我慢していた図書室に行くのをついに決行しました!黒子っちはど〜こかな、とか鼻歌気味で行くと普段の(モデル)イメージが崩れるんで静かに知的キャラ(笑)としてさりげなく探した。


「黒子君はいい人だね」


凛とする声が耳に入った。黒子君、は黒子っちのことで。多分まだ声しか聞いてないけど図書仲間とはこの声の持ち主なのではないだろうか、と思えた。水色の髪を視界に入れて思った。こうなったら意地でも友達になってやると思い、足を先に進めた。



「あーあ、まともな人がいたもんだよ。嫌味とかじゃなくて、黒子君は本当にいい人。わたしが言ってることに一喜一憂して抱え込みすぎてないかって不安になるもん。たまにはそっちから話してくれてもいいのにって思うくらい。…大抵は好きな本の話ばかり……、?」

「…どうしたんですか?」

入り込む隙間がないくらいに二人は親密そうに話していた(ようにみえた)。
だけど負けるものかと笑顔をつくった。それをみた名前は少し顔をしかめたのに気付かない黄瀬。



「ああ黄瀬くん、」

「…、黒子君…」

一気に嫌そうな雰囲気を醸し出す彼女に負けそうになったがそうなるわけにはいかない。それにしても二人は人をよく見るんだな、と思った。俺に穴が開きそうなくらい、


「えっと、はじめまして。俺は黄瀬涼太っていいます」

「知ってる。黄瀬涼太くん」



嘘つけ、初対面のくせに。
何を知ったふりするか。
彼女の「知ってる。」は俺の存在なのに。
興味ありません、と言うように黒子っちに視線を戻す彼女に苛立ちを感じた。



「そんな顔はいらないよ、紛い物だそんなもの」

「名前さん、やめてください…」

「何言うんスかいきなり。アンタには礼儀ってものがないんスか」

「…礼儀も何もそんな嬉しくない笑顔なんていらない。貼り付けたような黄瀬涼太くんとは仲良くなりたくない」


第一印象は最悪、黒子っち見る目ないっスよね。こんな女が図書仲間なんて。


「わたしは、名字名前」

これからよろしくと笑う彼女に誰がするもんかと差し伸ばされた手を叩き払った。相手はいくらなんでも女子だからそりゃ手加減したけど。無表情で言い放つ俺に彼女はやっとほんとの君がみれた、と微笑んだ。何なんだ、一体。後に聞いた話だと名前は初対面の人には少し壁を感じさせる態度で相手を試すことがあるという。特に俺なんかは騙されやすいんだと。そりゃモデルやってると嫌でも貼り付いてしまうのだけれど。見破ってくれた彼女には最悪な出会いと称したが、仲良くしたいと思えた。俺に執着しない媚びない女友達ができました。

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