最近の赤司っちはどこか嬉しそうで、何となく不機嫌だ。何かいいことあったんスか?聞こうにもそれがまた機嫌を損なわせてしまったらと考えると恐ろしいものだ。いや俺の体力が持たないっス。外周を何周走らされるか想像したくもない。恐るべしキャプテンっスよ。
「黄瀬」
うわ、俺としたことが赤司っちに呼び出しされるなんて!謝れ謝れば…、すみませんでしたぁ!赤司っちが最近様子が変だったんで観察してたんスよ。
あれ今俺自爆したような。完璧な死亡フラグ。黄瀬、と先程より低い声でもう一度呼ばれる。
「…オレが楽しそうに見えたか?」
「…え、」
怖じ気付くようないつもの黒い笑顔ではなくちょっとあどけなさが残るその表情は珍しかったのだと思う。純粋な疑問。
「ああすまない。聞いてみただけだ、…気にしないでくれ」
これ以上踏み込むな、とも聞こえた気がした。赤司っちは何に執着してるのか、気になった。そもそも個人的に話すこともあまりないものだから。話すことといえばプレーのことだし。だからもうちょっとって気があって。境界に踏み込んでしまった。
「黄瀬ちんに赤ちん、何話してるのー」
「紫原っち…!いや赤司っちがなんか楽しそうにみえたから何でかなと思って聞いてみただけっすよ」
「ふーん、…あ」
「なんスか?」
「赤ちんの気がいいのはあの子なんじゃないの〜?」
「紫原、口を慎め」
「はーい」
気がいいって言ったはずなのに眉間に皺よってるスよ赤司っち。どっちなんだ一体。あの子って誰なんスか。まあ赤司っちと紫原っちは互いが互いを信頼してるというか…。実際は赤司っちにしたがってるだけなんだろうけど。俺はそうまでして知りたくないからいいや。緑間っちもだっけな。あの三人は最近嫌ッス。なんか更に仲を強化してるっつーか、悪く言えばマフィア?俺や青峰っち黒子っちは自由にしてるスよ。別に俺らキセキの世代は逆らうことはもちろんないけど赤司っちから罰は与えられることはないから。優遇されてるみたいな。それにしてもあの子って気になる。もしかして赤司っちの彼女かな、なんて。
ついでに言うと黒子っちも新しい図書仲間を見付けたらしくなかなか俺の相手にしてくれない。くそ、誰なんスか。今度偵察に行こうか。そうしたらファンの子が図書室をうるさくしちゃいますよね、すみませんっス。黄瀬くんは来ないでくださいとどこからか聞こえた。あれ俺ってば幻聴多くないっスか?