これは、赤司君に逆らった罰らしい。



だからってこんなひどいことするのか。
上靴は無くなるし、机は彫られてぼこぼこだし。一部の先輩女子からは呼び出しされて殴られるし。小学生のいじめじゃないか。ただ抗いたかっただけなのに。わたしの抵抗はそれは綺麗に消えるように、彼からの猛攻は続いた。彼、赤司君は直接手を下してはいない。同じキセキの世代の紫原君や緑間君に命令でもしてるんだろう。それでわたしの靴は無いしクラスメイトには無視されるし。それは最悪の始まりだった。キセキの世代はまぁバスケ上手いお方が五人いて幻の六人目がわたしの唯一の理解者、黒子テツヤ君だ。わたしはテツヤ君としか話せない。テツヤ君がいいのだ。影が薄いってところもだが親身に聞いてくれる。例え彼がどんな無力であっても。目をみて相づちをうって、ただそれだけのことなのにわたしの心は救われていた。大丈夫、赤司君にはバレていない。もしばれてしまったならテツヤ君もただじゃ済まされないだろう。わたしと同じ目に合いそうな。

でもテツヤ君はわたしを見ていつも必ず言う言葉があった。「あなただけは負けないでください、僕たちはもう誰も彼をすくえないから」どうか助けてください。テツヤ君は現状を何とかしたいと思っている。上等だ。退学さえされなければ大丈夫だ。わたしは生きれる。



そんな危険との境界線に今立っているのだ。




「あ、黒子っちだ」


そう言ってこちらに近づいてくるのは黄色い髪の持ち主、黄瀬涼太。咄嗟に隠れようとしたけど遅かった。黄瀬君が悪いわけじゃないけど今は信用しがたい。もしかしたら彼に侵食されてしまっているかもしれない、と。



「え、…名前っちも。どうしたんスか」


「どうもこうも赤司君のせいですよ、みればわかるじゃないですか。見てみぬふりをするのもいい加減止めてください。彼女はもうぼろぼろなんですから。」




意外と無力な黄瀬君。いやそれでいい。呑み込まれていないならわたしは信頼できる。




(違う。黄瀬君は様子を伺ってきただけ。大丈夫なんだよ、テツヤ君。わたし、そんなに弱くないから。)


テツヤ君は黄瀬君を睨んで、わたしを庇うようにして抱き締めた。




もう泣かないよ、二人には心配をかけさせたくない。どんな卑劣な行為にだって耐えてみせる。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -