清々しく晴れた空。

昨日のチャイナの好感触に俺の気持ちも空ぐらい清々しい。


早く会いたい。


教室に入ると、意中の人はすでに自分の席についていた。


「お、早いねィ。なんかあったのかよ?」


「………」


「チャイナーおーいおーい」


「んだヨ…うっせぇナ」


あれ?

いつものように悪態をついてくる。
意識するとかないわけ?


「なんか怒ってんの?」


「え…別にそういうわけじゃ…‥」


「?」


「べつに…」


怒ってはねェみたいだが、元気がない?


「なァ「ちょっと保健室行ってくるアル!」


まだ1限目も終わってないのに保健室?
絶対に避けられてるな…。


今日からチャイナといちゃいちゃできるのかと少なからず期待もしていたのだが…


やはり現実はうまくいかない


「ちっ…」




********



なんだかんだでサボって3限目。


サドを避けてるわけじゃないんだけど、私も気持ちを言わなくては…と思うと時間が欲しいってものだ



影で壁にもたれて鬱々とした気分を少しでも晴らしたくてうつらうつら微垂みかけていると、階段をものすごい速さで登っている音が聞こえた。


授業に間に合いそうにないのかナ?


ほとんど夢の中だ。誰かは知らないけど、教室がどこらへんなのか当てられるかも…とその音を耳をすませて聞いていた。

あ、れ…?
なんか、音が段々大きくなってるような……


「おいこのクソチャイナァァァァァ!!」


「っぎゃひいい!!」


気のせいじゃなかったアルか…
サドがドアをものすごい勢いで蹴り開けてきた。


「いつまでサボってんでィ!」


「いやーそれは…」


「…俺のこと避けてるだろ」


「!」


図星…。

あからさまではあったしバレて当然だけど


「それは…その、」


サドはそんな私の様子を見てかため息をついた。


「アンタが俺のこと嫌いってことが分かりやした。もう近づかねェよ」


え…
そんな、つもりじゃ!
前が霞む。


「ち、違う!!」


出て行こうとしたサドを慌てて掴む。思うように力が入らないが、精一杯に踏ん張った。


「なに?」


「そんなんじゃないアル!ちょっと待つヨロシー!!」


深呼吸を何度か繰り返して気持ちを落ち着かせて覚悟を決める。


「私だって!その、サドのことが…すすすす好きアルー!勝手に決めんなヨこのバカー!」


もう自分が何を言ってるのかも分からず、混乱して自分の人さし指をサドに突きたてた。

サドが近づいてきて、何をされるのか、ぎゅっと目を瞑ると頭にあの大きな手の感触。撫でられてる。

驚いてサドをみると、にやりと黒い笑みを浮かべていた。


「よくできましたねィ偉い偉い」


明らかに馬鹿にした口調。
まさか…まさか…


「な…」


「チャイナも俺と同じ気持ちだったのかー。すげェ嬉しいなァ」


「まさかお前…分かって……?!」


「かわいいねィ。涙目になっちゃって」


ななな……


固まっていたらしい私を、サドはポンポン頭を叩いていた。


はっと我に返った時には遅く、サドはケータイを開いてパシャッと写真を取っていた…急いで払いのける。

絶対に馬鹿にされてるアル!


「こんのドSがぁ!!消せ消せ消せ!!」


「アンタに言われたかねェなァ」


「いやいや、お前には言われたくねぇヨ!!なんでそこで私の話になるネ!ついていけないアルー!」


「でも俺のこと好きなんだろィ?」


ホントどうしようもないSだなコイツは!こうなったらしらばっくれてやるー!


「言ってないしナ!」


「あ、そ」


ニヤッと一瞬笑った気がした。
私何かマズイこと言ったアルか…?気のせい?だが悪寒が拭い切れない。


『私だって!その、サドのことが…すすすす好き「ぎゃああああああっ!!!」


「言ってるじゃねェかィ」


「うるさーい!いつのまに録ってたアルか!」


「俺って常時マナーモードなんだよねィ」


「消せェェェ!今すぐ消せヨー!さっきの写真も!」


最高速でサドのケータイに手を伸ばすと、けっこうあっさり取れた!


「あ、何すんでィ!」


「フハハハハハハ!これでもう…‥」


ケータイの待ち受け画面を見て高笑いを止める。


「あー」


「だからいつ撮ったアルか!!」


サドの待ち受けは私の写真だった。
授業中に居眠りしているときの。


「さァな」


飄々と言い切られるとなぜかこっちがおかしい気さえしてくるのだが、ひとまずデータを削除することに専念ということでフォルダへ移動。

…ロックが掛かってた。


「うぜぇぇぇ!さっきのも演技かヨ!この鬼畜が!!」


「誰にも見せたくねェしなァ」


「しかもなんかフォルダの分類に[チャイナ]ってのが…これは何ネー!!?」


「チャイナメモリアルでさァ」


「くッ…付き合ってられないアル!」


暗証番号…


「なんて入れたんで?」


「"0703"アル!!」


「へェ、俺の誕生日知ってたのかー」


「!いやッこれはその…」


墓穴掘ったネ!

無視して画面を見てみる。


「空かないアルー!」


「んな馬鹿正直に自分の誕生日使うかィ」


「くそ〜!」


他は何も思い浮かばない

諦めて返す


「ごくろーさん」


「損しかしなかったネ…」


「俺は得しかしてねェな」


「あぁそう…」


「てこたァ俺たち付き合うってことだよねィ?」


ううー…
何を言っても無駄な気がするアル……


「私はそんなつもりじゃなかったネ…」


「チャイナに拒否権なんてねェし」


「結局そういうことダロ…」


「嫌じゃねェんだろィ?」


「…お前みたいなドSに付き合えるのなんて私ぐらいだからナ!仕方ないから彼女になってやるヨ!」


「へーへー」


「なんだヨ!お前から言っておいて不満アルか!?」


「いーや?まァもちっと素直に言えるといいけどなァ?」



お前は俺を好きでいりゃいいんでィ



(浮気とかは許さねェぜィ)

(お前とは違うアル。するわけないダロ!)

(んだコラ。どういう意味ですかィ?タラシだとでも?)

(完全にタラシ顔アル)

(心底気に入らねェがまァそんなんこれから分かることでさァ。それよりもチャイナ、お前ェの方が心配だねィ。俺が浮気と見なしたら浮気だからな)

(…なんか怖いネ)

(無意識でも駄目なもんは駄目。浮気した場合即刻お仕置覚悟しなせェ)

(一応気をつけるかもしれないヨ〜)

(言っておくが本気だからな)

(……うん…)



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暗証番号はもちろん「1103」です。


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