クリスマス。

11月も終わりを告げ、カレンダーを捲るとそのワードが目に入った。


クリスマスか。何かあげたいなぁ…。


…手ぶくろ?


手を繋ぐのが嫌ってわけじゃないけど、すごく恥ずかしいしドキドキするから買って言ってもなぜか買わないけど…

もしかしたらもう買ったかもしれないし…


…冬と言えば、マフラーとか!?

うん、それがいい!でも作り方しらないアル。


あっ!!




********




「…で、なんで俺なわけ?」


私は担任兼保護者の銀ちゃんに頼んでみることにした。

今の時間は総悟も部活でいないし、うってつけの時間だ。


「だって銀ちゃん器用アル」


「いや、俺も編み物とかしたことねぇから」


「大丈夫!そんなこともあろうかと図書館で本借りて来たアル!あと毛糸もこの編むときに使う棒もあるネ!!」


不服そうだけど、渋々にもしてくれる銀ちゃんが嬉しい。
いつも何かしら助けてくれる。


「あれ。思ったよりも簡単なんだけど」


本を見てすぐ器用に棒を動かして編み出している。


「流石アル!どうやってしてるネ?」


「本読んだら分かるだろ」


「分からないからここに来たアル」


「はいはい」


呆れつつも銀ちゃんはしっかり私に教えてくれた。

やっぱり頼りになるのは銀ちゃんネ!!




********



完全に寝不足ヨ。しかも総悟にはバレないようにしなきゃいけないから疲れる。


「神楽!今日から部活1、2週間休みなんでさァ、久しぶりにどっか行かねェ?」


げっ!
い、行きたい…!けどここは!!


「あー…ちょっと私あの、アレ!アレだからぁーさっき帰ってて欲しいネ」

「なんだよ『アレ』って」

「うー…呼び出しアルヨ!!」

「…そうかィ。分かった」


自分が部活した手前もあってか、若干嫌そうではあったけど了承してくれた。


「ごめんアル!」


いつくらいにはできるか分からないけどそれまでは絶対総悟とは帰らないネ!

銀ちゃんにももう少し教えてもらわないと…



********



ふわぁ〜マジ眠いアル。

あれ、もう1時。私にしてはすごい集中してたみたい。


授業も寝る割合が高くなってるけど、銀ちゃんは少し譲歩してくれている。
徹夜してるから早くに出来上がりそうだ。


にしても長さどうしよーかなー

二人で巻きたいなぁとか…まぁ、まだ決めなくてもいいし


アイツ喜んでくれるかな?


最近あんましゃべれてないんだけど、まぁ気にしてないみたいだから大丈夫だよナ!

ただ下校のときにいつも断るときに一瞬眉間に皺が寄ってたような気が…
気のせい?




********




最近は家で縫うようになったから銀ちゃんと話に行くついでに経過報告でもと今職員室にいる。


「銀ちゃ〜ん!」


「お、神楽ぁ。順調か?」


「うん!けっこう余裕で間に合うと思うネ。銀ちゃんのおかげアル」


「そうかよ。でも居眠りは極力控えろよな」


「…努力するアル。にしても銀ちゃんの机の中から甘い匂いがするネ。なんか隠してるダロ?」


私の敏感な鼻を出し抜けるわけがない


「犬かお前は!」


「よこすヨロシ」


じゃないと理事長にいってやるという意味合いを込めて。


「神楽ちゃーん!俺今月もピンチなの!大体マフラー教えてやっただろ!!」


「それはそれ。これはこれ。」


「…チョコ一個だけな!」


「わーい!銀ちゃんありがとアル!」


「うぅっ…クソガキ…」




********



はー楽しかった!

一個だけ、チョコももらえたし。

にしてもいつもは早く帰って編んでるのに、今日は遊んじゃったからなぁ。また帰ったらマフラー進めないと!

アイツの反応が楽しみアル!!


上機嫌で校門を出ると‥


「沖田!」


驚くことに総悟がいた。とっくに帰ってると思ってたのに。


「何してるアルか?」


さらに上機嫌になった私は気付いていなかった。

総悟の機嫌は私とは全く対局にあるということに。


「チャイナを待ってたんでさァ」


「なら行ってくれればよかったのに」


「言ったってどうせ断るくせに」


「沖田…?」


「何か用事があるとは思って仕方無く了承してやってたのによォ」


「へ?」


言ってることが分からなくて考えていると、ぎゅっと沖田が私を抱きしめていた…


「!!?」


「はぁー。生き返る」


そういうと首筋に顔を埋めてすりすりしてきた。

いつもはこんなことされたことないのにっ!私の心臓はもう爆発しそうな 位動いている


「サ、サド…」


「なんでサドなんでさァ」


「う…沖田…ちょ、恥ずかしぃ…」


少し身を捩って離れようとするけど、沖田はそれを許さずさらに腕の力を強めてきた。


「いいだろィこれくらい。この頃お前とは話せなくて寂しかったんだぜィ?」


「なんか沖田変アルヨ!いつもこんなん言わないネ」


「いつもと一緒じゃあお前またふらふらどっか行くだろィ」


ふ、ふらふら?話が見えてこない。


「な、どこにも行ってないアル!何のことネ!?」


「何って、いつもじゃねェか。他の男のところばっかり。」


素直に驚いた。


「え、浮気してるってこと?」


してない!どうして沖田はいきなりそんなことを言うんだろうか。私はいつだって一途だ!


「浮気みたいにはっきりとしたもんじゃねェって。マジで無自覚かよ…」


どうやら私の言ってることはかなり的外れだそうな。

無自覚ってどういうこと?


「無自覚?」


「…チャイナ休み時間でもずっと銀八のところとかいるし、最近だって放課後も俺と帰ってねェだろィ」


「う〜ん、そう言われれば…」


もしかして、その事…?


「で、なんで一緒に帰れなかったんでィ」


どうやら沖田は私が思っていたよりもずっと気にしてたみたいで。


理由はちゃんとあるけど、せっかく内緒にしてたのに。

私は言えずにだんまりしていると、沖田は冷たい目で見下ろしていた。


「言えないってか。ホントに浮気か?」


「ちがっ…!」


「じゃあ何なんでィ!」


「も、もう少し待って欲しいアル…」


喧嘩になりそうなのは分かってるけど、でもせめてクリスマスよりも早いけど、出来上がらせてあげたい。バラすのなら、その時に言いたい。


「…そうかよ。勝手にしろ」


どうやら沖田は本気で怒ったみたいで踵を返して歩いて行ってしまった。


今ならまだ間に合うよ?私は説明しない?


でも私は一歩も動かずに沖田の姿が見えなくなるまでずっと見届けていた。

結局、私はここまでしたらマフラーを渡すまで言わないと決意した。




********




それからは沖田にも避けられ続けていた。

それでも私は意地なのか理由を言おうとはしなかった。


家に帰ったらただ黙々とマフラーを編む。あの件より前は長さはどのくらいにしよう?二人で巻きたいなぁとか思ってた余裕もない。


渡せるの?
これは別れるとか、ない、よネ?


…意地になりすぎたのかもしれない。

ただ黙々と沖田に喜んで欲しかっただけなのに…。



********



できたー!!

やっと、やっと完成したアル!

…でもどうやって渡そう。

沖田とはあれから一切話していない。クラスメートも首を傾げていた。深まってしまった溝をこれだけで埋められるのだろうか。

もしかしたら、もう私には愛想つかしたらかも。


渡せるかは分からないけど、一応学校の鞄にこっそり忍ばせて登校した。


席についても隣の沖田は全く無反応。あれ以来ずっとこんな調子だ。

勇気出さなきゃ。私が怒らせちゃったんだから。


でもどうしても言葉を発することができなかった。

結局帰りの時間になっても何も言えなかった。


はぁーとため息をついて下駄箱に行くと、沖田がいた。


目が合ったけどすぐに逸らされる。


今しかない!チャンス!


「お、沖田っ!」


「…なんでィ」


「あの、前の件…理由を言いたいアル」


「…そうかィ」


どうやら聞いてくれるらしい。無視されることがなくてよかった…。

私は急いで鞄からラッピングした物を出渡す。


「私ネ、沖田にマフラー編んでたアル。だから銀ちゃんに教えてもらってて…はいコレ」


許してもらえないのではないか。拒絶されるのではないか。無視されるのではないか。もう、遅いのでないか。


怖くて視線が上げられない。表情なんて見たくない。
突き刺されるのなら言葉だけで充分なんだ。


「そういうことかよ」


不安が駆け巡って震える私の体を沖田にそっと抱きしめられ目を見開いて驚く。


「沖田…?」


「ホントに浮気されてんのかと思った。安心したぜィ」


「ごめんアル…」

「でも、なんであんなに理由言わなかったんだよ。お前に話しかけられなくて寂しかったし」


「え、それは…サプライズにしたかったのもあるけど、まさかあんなに怒るとは思わなくて…」


「普通怒るだろ。愛されてる自信なかったわけ?」


「そう…なのかも?」


「そうかィそうかィ。そりゃ残念だ」


何気に皮肉混じりの言葉にうっと言葉が詰まる。


「まだ怒ってるのかヨ…」


「まだっていうか信じられてなかったことに怒ってんだよ」


「ごめんなさいってば…」


「なんでしつこいみたいな顔をお前がしてんだ。一生言い続けるぞ」


「えええ!嫌アル!そんなん憶えてくれなくていいネ!!忘れるヨロシィィィ」


「無理。拒否。俺ァこう見えてもけっこう傷ついてんだかんな。そろそろ抱きてェんだけど」


い、いきなり何言い出すんだああああ


「うええええ!!!」


「いいだろィ?」


うー
元はと言えば私のせいなんだし、諦める他ない…。


「や、優しくしろよナ!」


「それこそ拒否。」


即答されたぁあぁぁあぁぁ!?


「こればっかりはお前に拒否はできねェだろィ?」


「そうだけど…」


「なら黙って犯されろィ。大丈夫チャイナはただ俺に任せて股開けりゃいい」


「変態ぃぃぃ!!」


「はいはい。話はベッドで聞いてやらァ。」


「うああああああん」









(ホントに優しくしてくれなかったアルぅぅぅ!)


(男に二言はねェからねィ)


(一晩中しやがってぇ!ちょっとは加減してくれてもいいダロ!!)


(何言ってんでィ。お前さんも自分から腰とか振っちゃって気持ち良さそうだっただろ)


(う、嘘ネ!!)


(なんだよ、憶えてねェのかィ?すげェそそられたぜ?あん時のチャイナ)


(変態があああああああ!!!)


(今度はもっとすげェことしてやらァ)


(ぎゃああああああああああ!!)






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