やっと、やっと神楽が俺のモノになった。 登校も恋人みたいにラブラブした… 「え?神楽ならもう学校行っちゃったわよ?」 神楽のお母さんの言葉に軽く心に傷がつく。 いつもより早っ!! これでも早めに来たんだけどな。 ありえねェ。 なんでよりにもよって恋人になった次の日に俺を置いてく? 仕方ない。俺は一人寂しく登校した。 ******** 教室に入ると、やはり神楽は先に来ていた。 俺を見つけると、途端に真っ赤な顔をして机に伏せた。 可愛いなァ。 少しだけ放って置いてやろう。 ******** 授業が終わって昼休み。 また神楽の姿が見えなくなっていた。 うーん… なんか恥ずかしがってるのは分かんだけど、ちょっと俺の事避け過ぎじゃね? 告白直前のときとそんな大差なくね? 仕方なく裏庭などを捜索中。 まだ寒いっていうのにいるかどうかは不明だけど。 歩いていると、木の影の方に誰かいるのが見えた。 校舎の壁から覗くといたのは俺の愛しい恋人の神楽とどこだかの地味な男子。 「か、神楽さん!好きです!僕と付き合って下さいい!!」 男の方は顔を真っ赤にして頭を下げている。 一方の神楽は困ったように笑っていた。 総悟っていう素敵な彼氏いるから…って振っちまええええ!! 「…ごめんなさいアル。あなたの気持ちとっても嬉しかったけど、私、好きな人がいるネ。付き合う事はできないヨ。」 男は頭を上げて神楽を見つめると、吹っ切れたような面持ちで笑顔になった。 んな神楽を見つめるんじゃねェェェェ!! 「そんな気はしてました。気持ちを言えただけでもよかったです。…彼氏、いるんですか?」 そうでさァ!神楽ァ言っちまえ!! それで俺たちの仲広めろ! 「…いないアル。私の片想いネ。でも、とっても好きアル…。だから、付き合えないヨ」 神楽の放った言葉に口が開いて塞がらない。 な、何言って、彼氏がいない!?いるだろィ!何無駄にデタラメな事言うんでさァ!! 男の方は納得したようで、 「そうですか…。聞いてくれてありがとうございました!」 また神楽にぺこりと頭を下げ去っていった。 でも俺は何も納得してない。 一息ついて安心してるとこ悪ィけど、次は俺の相手してもらうぜィ。 校舎の影から出て、神楽の肩を軽く叩く。 「あ、あれ!?総悟?どうしたアルか…?」 俺の方を向くと神楽の体は一瞬びくりと震えた。 そして誤魔化すように引きつった笑みを浮かべている。 一方の俺は全く笑っていないと思う。はっきりさせてやる。 「どういうことでィ?」 「へ…?」 神楽は俺の言葉も表情も意味が全然分かっていないようだ。 機嫌を伺うように問うてくる。 「好きな人って誰?」 そう。 これがまず俺の聞きたい所。 付き合い出したと思ったら、その彼女には付き合ってないってことになっ てる。その好きな人は俺のことか?違うのか? 恥ずかしいから言ってないってのも考えられるけど、さっきの神楽の様子から嘘をついてるようには見えなかった。 「好きな人っていうのは、その…」 頬を染めて目線を逸らしながら引きつった笑みを未だに張りつけている神楽はどうやら本当に俺との交際を忘れているようだ。 「…俺ら付き合ってるだろ」 「…なっ!どうしてその事知ってるアルか!?」 「はァ?」 「え…。夢じゃなかった…?」 「…そういう事かィ。お前ずっと夢だと思ってたわけ?」 「ゆ、夢じゃなかったアルか…」 「それで俺の事避けてた?」 「そうヨ。そんな夢見たんだと思うと恥ずかしくて…」 真っ赤になって俯いている神楽を自分の腕の中に閉じ込めた。 「これで夢じゃないって分かったろィ?」 「うん…」 「次はこんな事ないようにしろィ。寂しかったじゃねェか」 「うー…。ごめんアル」 「神楽…好きだから」 ぎゅっと神楽を抱き締めるとおずおずと神楽も背中に手を回してくれる。 それが嬉しくて神楽に不意打ちでキスをすると顔を真っ赤にさせた。 「いきなりそういう事しないでヨ…。恥ずかしくて死んじゃうアル!」 そういって俺の胸に顔を埋めてきた。 「可愛すぎ…」 吹雪の中だって、君を見失ったりはしない (なァ、今ここで抱いていい?) (言ったらいいって問題じゃないアル!!) back |