「神楽ァ!」


俺は1人で購買に行こうとする幼馴染み、神楽を急いで呼び止めた。
周りを気にすることなく大きな声で。


アイツときたら最近やたらと他の友達とか1人とかで行動しようとする


神楽はゆっくりと振り向いて首を少し傾けた


「どうしたアルか?そんなに焦って」


「俺も行くって言ってんだよ!」


「だってお前お姉さんに弁当作ってもらってるダロ?」


ごもっともだよコノヤロー!


「そ、それはお前と行きたいんでィ!」


「へぇ」


また失敗か・・・。

いつもかなり分かりやすいような恥ずかしいことを言っても、全く逆の方向に解釈され、スルーされる


ふと土方の方を見てみると哀れみに満ちた眼差しで見られた

クソ土方がっ・・・。


心で悪態をつくけど、怒る気力もない


「総悟、どうしたアルか?早く行くヨ!」


「あぁ・・・。行くかィ」


沈んだ気分のまま神楽の後をついていった




********



ハァー


今日も特に進展のないまま俺の家のソファに座って録画していたドラマを一緒に見ている

ていうか年頃の男女が家で二人きりなのに、そういう雰囲気が皆無なんだけど。

幼馴染みって、最悪。


「もー!何アルか!今日はため息ばっかネ!!」


テレビの方しか向いてなかった神楽がこっち見てくれた!落ち着け俺!!


「べっつに〜」


意味ありげにそっぽ向いていってみる


「・・・」


あれ。何も言ってこないな。
またテレビ?


心配になって神楽の方に首を向けてみると、神楽は俯いてる


「私といてもやっぱりつまんないアルか?」


やっと発した神楽の声は震えていた

なんでだ?なんでそういう方向に?


「は?」


「えっ・・・!あっ、何もないアル!ドラマ見よっ!」


神楽は引きつった笑みで手をブンブン振って否定する
そうしてまたテレビに向き直った


「・・・神楽ァ」


俺はテレビの電源を切る


「ちょっ、何するアル・・・」


怒った神楽がこっちを向いたと同時に俺は神楽を押し倒す


「こっち見ろよ」


俺の真剣な言葉に息を飲む神楽


「総悟・・・?」


「神楽、何処にも行くなよ」


「え」


「好きだ」


神楽の大きな瞳はさらに大きく開かれた


「ア、アハ・・・総悟、そんなこと他の女子に言ったら誤解されるアルヨ?」


なんだよ、それ。イラつく。

まだ分かっていない風なコイツに分からせてやる。
どれだけ俺がお前を想っているかを。


神楽の無防備な口に俺のを重ねた
 

「っ!?!」


ちゅっ


「〜っ!」


リップ音にやっと自分の置かれた状況に気付いたのか真っ赤になっている

俺はというとお構いなしに神楽の口を貪る


・・・少しで許してやろうか


名残惜しいけど離してやると神楽はすぐさま起き上がって後ずさる


「んななっ・・・なにを!」


未だに真っ赤で口を手で覆ってわなわなと震えている様子はまさしく小動物だ


「何って、キスだろィ」


「!!?」


「だから好きだって言ってんでィ」


「ほ、ほんとアルか?」


「疑り深いねィ。幼馴染みとか関係ねェ。ずっと前から好きだった」


「ちょっ、あんま好き好き言わないでヨ!・・・私も、好きアル・・・」


そういう神楽はこれでもかってほど真っ赤で睨んでいる様がどうしようもないくらいに可愛い


やっと手に入れた


ただの幼馴染みじゃなくてもう俺の彼女









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