数年ぶりの再会の【前編】

今日も遅くなる退社の時間。

真っ暗になってやっと帰ってきた我が家を見るとどっと疲れがわく。

はやく寝てェ…

郵便物を漁って、自分の部屋に入り、服もそのままベッドになだれ込んだ。

ゴロゴロとしながら郵便物を確認する。


その中に、他のA4サイズで厚いものよりよりも細く小さい、ハガキが珍しく目に入った。

同窓会、の知らせ…
なんと集まるのはあの3zメンバーだ。

「これは行くかねィ」

もしかしたら、あいつも来るかもしれねェし。
忘れられない、あの女。



数年ぶりの再会の



少し早く会場である居酒屋に来てみる。

けっこう来てたが、目当ての奴はいないようだ。
まァ遅刻魔だしなァ。


「あれ、沖田さん」

「おう山崎ィ」

「来たんですね、意外」

山崎の他に、もう二人見つけた。

「お、総悟来てたのか」

「テメーは来ねえんじゃねぇかと思ってたがな」

近藤さんに土方コノヤロー。
少し経った今でも二人の同年代よりも老けた顔は変わらない。

「おい、今なんか失礼なこと「なんもありやせん」

わーわー言われながら過ごすこと数分、ちらちらと入り口を確認確認していると、とうとう来た。

「よう!」

それはそれは綺麗になっていて。
体つきはものすごく女だ。髪も肩より少し長いのを下ろしていた。

ちょっと前まではガキ丸出しだったくせに急に大人っぽくなりやがって…なんだよこれ。

見惚れていると、声をかけるタイミングを失っていた。

「銀ちゃん!来てたのかヨ!」

ちっ、やっぱり一番初めは銀八か。
つーか、俺に気づきやしねェ。
しゃーねェ。俺からアクション起こすか。


意中の人物、神楽ことチャイナにそーっと近付き唐揚げを先にとってやった。

「…あ」

「久しぶりですねィ」

「私も唐揚げ食べたかったネ!」

「追加しなせェ」

「…そうする」

性格はあまり変わっていないようだ。少しは落ち着きがあるようだがな。


「チャイナ今何してんの?」

「OL」

「ぶはッ!チャイナがOL…」

「なにが可笑しいんだヨ、ぶっ殺されてーのか!」

「おーおー、物騒だねィ。変わってねェなァ」


あー、やっぱ駄目だ。どうやら本気で好きのようだ。


本当は高校卒業した後だって会いたかった。
そういう関係ではなかったにしろ、友達としてでもいい。

でもコイツ連絡先もよこさねェ。
そういえば高校でも3年のときいつからか結構チャイナは俺によそよそしい感じだったと思う。

とっくに諦めた、つもりだったんだけどなァ。
どうりで女できても長続きしないわけだ。


ここで逃したら終わりだ。今の俺は高校の時のようなヘマはしねェ。

「なァチャイナ。また呑みにいかねェかィ?」

先手はともかく「いつも遊ぶ友達」だな。こういうのは順序が大事である。

「うーん…」

うまくいくと思いきや、思ったよりチャイナは渋った。

待て。そこは即答のところだろ。

「駄目?」

諦めるつもりは全くないが。

「ううん、いいヨ!」

ホッとする。
ひとまずチャンスができたわけだ。

「じゃあ連絡先教えろィ」

「おう!」

さっきまで困ったような顔をしていたチャイナは見間違いだったのだろうか、すぐいつも通りだった。





数日後。

一回あいつと会って目と鼻の先にいるとなると、数日前だったにも関わらずすぐに会いたくなった。

言った手前俺から居酒屋に誘う。
まずは親密度を上げるとこからだ。


一回目の飲み会で。
なんだかんだ言っても性格上もともと気の合う俺らだから、すぐに仲は良くなった。
それは甘い雰囲気の類ではないけど。

次回の約束もすぐに取り付けておいたし完璧だ。



そんなに遠くもない距離にいることが判明してもう結構の回数呑みに行っていた。
そんなある日のこと。

その日も二人とも会社帰りに適当に店に入った。

チャイナの方は明日は会社が休みなのだという。
だからなのか、最初から酒のペースがえらくハイだった。

「おいチャイナ、そんな呑んで大丈夫なのかよ」

「あっはっはっは〜!ばーっちりアルヨ?明日は休みだもーん」

こりゃ駄目だ。

ハイだったとはいえ、いつもより少し多いくらいで、そんなに呑んでるようには見えなかったんだけどねィ。意外にもあまり酒には強くないらしい。

「もっと呑めよ〜」

赤い顔でにこにこ笑って酒を差し出すチャイナ。
俺はまだいけるがコイツはもう無理だろうな。

「てめェもうやめとけィ」

「おーいー!つれないこと言うなよナ」

言ってもきかなそうだ。

ため息をつきつつ立ち上がって、無理に連れ出そうと手を伸ばそうとする前にチャイナの躯が傾いた。

「おい!?」

慌てて受け止めて躯を揺さぶってみると…

「…すーすー」

寝息が聞こえる。

…なんでィ、寝てんのか。
焦ったじゃねェかコノヤロー。

にしても当分起きそうにないと思われる。


チャイナを負ぶさって伝票片手にレジへ。

こんなことてめェ以外には絶対ェしねェぞ。
っていうのも、絶対気付かないんだろうな。

「おっちゃん、勘定」

「はいよ。気ぃつけて帰んなよー」







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