だからと言って早々慣れるもんじゃない。
だって今まで喧嘩しかしてこなくて。

あっちはもちろん私のことは大嫌いなんだと信じて疑わなかった関係が、いきなり告白されて、付き合うと益々別の人物と化したもんだから、ついていけない。

というのには気付いてないのかお構いなしなのか、私を待つことなくむしろ日に日に酷くなっていってるような。
控える気はないらしい。


銀ちゃんに言わせるとサドは舞い上がってるらしい。

私に言わせるとやはり面白がられてるのでは?そう考えてしまうのも仕方ないと思うけれど。

「おーい、チャイナ。おーい」

こんな風にキャラにありえないくらい密着するのはもう当たり前。

「おい、何考えてんでさァ。今チャイナといるのは俺だろィ」

「……やっぱりおかしいアル。お前はそんなキャラじゃないネ」

どういう反応をすればいいのか分からない。
嫌、ではないんだけど…

「ハァ…まだ言ってんの?」

「違和感が有り過ぎて、あー言ったのはその場のノリっていうか…要するに慣れるわけないダロ!」

絶対顔が赤い。誤魔化そうと怒鳴るが全く動じない。
余裕な所もムカつくアル。

「じゃあ俺のこと嫌い?」

「そうは言ってないネ!」

「じゃあ好き?」

あぁー!また流されるアルー!!
そんな見ないでヨ!

「そんなん…す、好きに決まってるダロ!じゃなきゃ付き合ってないネ」

「…そんなん言うから離せねェんでィ。自覚しろ」

「お前が言わせたんじゃねぇカ!!」

ただこういうことを言えるようになったのは進歩だ。
私だって好きだもん。多分沖田の口振りから分かってると思うけど。

「可愛い。たまんねェ」

「サド、でも外でが恥ずかしいアル…」

「…そろそろその『サド』っての嫌」

聞けヨ、人の話!

「じゃあ、『沖田』?」

「やだ。なァ、ちょっと『総悟さん』って呼んでみろ」

「はぁ?なんでさん付け?」

「それなら『総悟』で」

それは無理ー!それだけは!
呼べばいいんダロ呼べば!

「そ、そーごさん…」

うあーん!もう誰だヨこれ!
絶対呼ばないネ!

沖田は驚いたと思ったら、顔を片手で覆う。

「…それいいわ。やべ、可愛過ぎ。じゃあ次は『総悟様』で……」

「もうしないアル!」

「なんでィ」

なんで私ばっかり。狡い。

「大体お前だって…」

「神楽」

「え」

「これからそう呼んだらお前も名前で呼ぶ?」

…う
別に嫌じゃないけど!
………恥ずかしい。

「なァ…神楽」

「やっぱ『チャイナ』でいい!」

「や、俺は別に嫌じゃねェ、むしろ呼びたいから」

「…そ、そーご」

かあぁあぁと顔が熱くなる。

いつか慣れるアルか!?
だってやっぱありえなくてー!!

「…たまんねェ。やっぱそう呼べよ」

「『沖田』!で、私は『チャイナ』!慣れたら名前で呼ぶから」

「だーめ、待てねェ。せっかくこういう関係になったのにどうせ何時までも言わねェだろ?」

「もー!分かったアル!」

「あれ、意外に早いな。もっと拒否るかと思った」

お前が言ったんダロ!
だってそうは言うけど絶対コイツ引かないもん。

それに、

「…私だっておき、そーごのこと好きアル。できるだけ応えたいネ…」

「…やっぱかわい」

え?と思った瞬間そーごの顔が近付いてきて突然、キス、された。
軽く触れる程度で最後にちゅ、という音がしたときに我に返る。

「な、な、な、なっ!!?」

「やべ、もっとしてェ」

また顔を寄せてきたそーごを慌てて止める。

「ちょ、ストップアル!ここ外アルヨ!?」

そう。ここは公園のベンチ。夜ならともかく今の午後の時間たくさん子供もいるし、大人だってちらほら。

「だから傘で隠してんじゃねェかィ」

あ、ホントだ。
そういうことはちゃっかりしている。

「だからほら。いいだろィ?もっとさせろ」

「待っ、だって!こんな隠してたら何してるかバレバレダロ!」

「いいじゃねェか。見せつけてやれば?」

「お前真選組アル!こんな白昼堂々警察がこんなんしてたらゴリに迷惑掛かるんじゃないのカ!?」

必死に止める。じゃないと本当にここで長いことしかねない顔してるんだもの。

ゴリを引き合いに出すと嫌そうな感じを全面に出しながらも渋々諦めてくれた。

「後で路地裏引っ張ってやりまさァ…」

「!!?」

「それよりも」

さらっと聞き捨てならない事を言われたのだが、ぐっと覗き込まれて何も言えない。
確実に後でされるアル…

「これ、テメー初ちゅうだろうなァ?」

「付き合ったのもお前が初めてヨ?当たり前アル、それが何ネ」

「いや、別に神楽の初めて全部欲しいだけ」

さも当たり前だ、というように言うので吃驚した
初めてって…!
ただコイツがそこまで考えていたことが嬉しい

「ちなみに相手がいたらそいつぶっ殺す」

いや、そんなの聞いてないアル!
ぶっ殺すって、物騒な…
だけど素朴な疑問が湧いてきた。

「お前はそういうのとか特に気にしなさそうなのに」

そりゃ、女の子にとっては特別だと思う。
だけど男の人はキスとか、そういうのは気にしないイメージがある。特にコイツみたいなのが。

「他は他。俺は気にすんの」

…わー。心読まれたネー。
もうつっこむのも面倒くさい。

「ま、初めてならいいわ」

「…そりゃよかったアルな……」

呆れてため息をつこうとしたら、その前にまたちゅ、っとキスされた

「うん、よかった」

「〜っっ!!」



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