「かーぐら」

「ふわっ!ちょ、何アルか!?」

付き合い出してからというもの、暗黙のルールで公園に毎日待ち合わせている。
といっても何をするわけでもないけど。

「今日も可愛いねィ。真っ赤にして慣れねェところとか」

「お前毎回毎回馬鹿にしてるネ!」

「なんでだよ。普通に褒めてんのに」

神楽はいつも照れて、嫌ではないが慣れないらしい。
それがたまらなく可愛い。
だからいつも虐めてやりたくなる。

「お前面白がってるダロ!」

「確かにそれもある」

「ほらッ!」

「けどそう思うんだから仕方ねェだろ」

「〜ッ!」

こういつもいつも期待を裏切らない反応してくれんだよなァ。

「そうやってからかうのもいい加減にしろヨ!こっちは恥ずかしくて仕方ないアル!!」

「そりゃあよかった」

「喜んでないネ!」

ふんっとそっぽ向いてしまった。
拗ねたらしい。ちょっとやりすぎたか。

まァ本気で怒ってるわけじゃないのは神楽見たら一発で分けるけどな。

「悪かったって。やりすぎた」

「…全然思ってねーダロ」

「そんなことねェよ」

ちゅっ、と頬にキスするとまた真っ赤になった。
ホント可愛いな。

「だから、そういうのをちょっと控えるアル!」

「どれ」

「〜っっ!」

何のこと言ってるかは知ってるけど。
了承できないという意味を込めて、ぎゅっと抱きしめる。

いい匂いする。柔らかくてあったかい。
離したくねェ。

「好きなんだから仕方ねェ」

「う…分かってるダロ!その言い方は!」

「いーや全然」

そのまま髪や首に顔を埋めていた。




「ぜーったい遊ばれてるアル!」

「そんな沖田君見たことないけど」

膨れっ面で帰った神楽は、自分だけが翻弄されるのとあまりにも前と変わり過ぎた沖田に戸惑っていた。

「でもいくらなんでもちょっと違い過ぎると思うネ!」

「いや前から兆候出てたよ」

前?そんなの出てたっけ?と首を傾げる神楽に溜息をつく。

「お前がそんなんだから沖田君も分かりやすくしないといけないこと知ってんだよ」

「そんなんってどんなんだヨ!銀ちゃんまで何言ってるアルか!じゃあ本気って言いたいアルか!?あの!ドS腹黒が!あんなにまで腑抜けになるのが!いや、ドSは今も健在ネ…それがまた厄介なのヨ!!」

要するに愚痴だ。
はいはいと流す銀時は、喧嘩するより平和であるので今のままで構わないと思っている。

ま、今の沖田君なら神楽がちょっとでも怪我するような喧嘩はしないだろうし安心だ。

「いいじゃん。愛されてるんじゃね?俺にはリア充にしか思えんわ」

「あいッ…!?ないない!ちょっとはあるだろうけど…半分はからかってるアル」

「それはない」

どんだけ俺が睨まれてると…
今なんか余計だぞ
一緒に住みだすのも時間の問題だと思う。

絶対に奴は本気で舞い上がってやがる。

「気にし過ぎるな。神楽、お前がそう考える程自体は複雑じゃないから。いちゃいちゃし合えば?」

「そっ、そんなん無理アル!恥ずかしい「そうでさァ!チャイナ、手前ェももっとべたべたしてもいいんでィ!」

「ぎゃああああああッ」

突然戸が開いて噂の本人登場。

(あ、これは間近で見るとすごく怖いわ)

「何してんの沖田君」

「チャイナがいらん事考えてるような気がしたんで」

うん、これ絶対本気だ。
神楽よかったな。

「というわけでチャイナ。俺の気持ち疑ってんのかィ?」

「そういうわけじゃ…」

「心外でさァ。俺が好き好んでべたべたしてるんでィ。好きじゃないわけないだろ」

「…うん……」

いやいや、神楽はこの高速展開についていけないんだって。

沖田君変わるにしてももう少し徐々にだったらよかったのに。

「本気で好きだ、チャイ「ちょー!?何言ってるアルかー!」

「そうだ、いちゃコラなら外でしてきなさい!」

「銀ちゃん、そういう問題じゃなくてー!」

「分かりやした。じゃあ行くぞ」

神楽は恥ずかしかったのかすぐさま外に出て行った。

「俺に言わせりゃどっちもどっちだけどねぇ」




「チャイナ、俺本気で好きなんですぜィ?」

「…ホントにホントアルな?」

「あァ、誓って言う」

冗談にもならない空気は神楽には耐え難かった。

嬉しいけどすごく恥ずかしい…
逃げたい。少しでいいから前みたいに喧嘩したい。

「じゃあネ、もうちょっと徐々にして欲しいアル。いきなりでついていけないネ」

「ん。じゃあ努力する」

指と指を絡めぎゅっと手を繋いで、二人は何処へとなく歩きだした。



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