肩の上でバタバタ暴れ回るチャイナ。

「分かったアル!逃げないから!降ろすヨロシ!」

「え?なに、ラブホがいい?チャイナもお盛んだねィ」

「死ねボケェェ!」

「冗談でィ」

チャイナを降ろす。
ただし手首を掴んではおくが。

「あの体勢辛かったネ」

「そりゃあすまなかったな。でも逃げるだろ?」

「それはそうだけど…お前がわけ分かんないこと言うからダロ!」

「わけ分かんないって…普通の事言ってるだけじゃねェか」

「そっちこそホントのこと言うヨロシ!!」


まー何回もホントのこと言ってんだけどなー…

そう思いながらも口には出さず、そろそろ本気で分からせようかと、一転して真剣な表情になった沖田に、神楽はどきりと胸が高鳴る


「ずっとだぜ?アンタのこと見てたのは」

「そっ、そんなのありえないアル!ていうか好きって言うのが事実かも疑わしいネ!」

「そうかィ?じゃあよく考えてみなせィ、喧嘩吹っ掛けるのは大体俺からだろィ?チャイナ突っ掛からねェと相手にしてくんねェし」

「確かにそうアルけど!そんなの…!だっていっつもサド私に貧乳とかマウンテンゴリラとかなんとかんとか悪口ばっか言ってきたアルヨ!」

「だから、それもアンタの気を引くため、話したり喧嘩したりするためでさァ」

「え…そんな回りくどい事…!」

「悪かったねィ回りくどくて」

子供みたいに拗ねて口を尖らせた。

少しだけ顔が赤くなっていて、ますます神楽は混乱した。


「ええっ!でも!だって…」

「他に何が聞きたいんでィ?」


こんなの本当の筈がない…

認めてしまってそれが嘘だと思うと…
どうにか嘘だと証明したかった


「じゃあ、歴代の彼女はどんなのアルか!?」


歴代全員がまさか3、4歳年下なんて言うんじゃないだろうな…?

神楽は、我ながらなかなかナイスな質問をした思った。
ただのポリゴンヤローと言ってやる、と。

「初めて惚れたのはアンタだ。付き合ったことなんかないねィ」

「!!」


この答えも予想していなかったわけじゃなかったのだが、冗談でそこまでは言わないだろうと高を括っていた神楽には、驚くこと以外できなかった。

「まだ他にあんの?」

さっきの質問にも即答されて、次など用意していなかった。

「え…あと、特には…」

「ふーん。じゃあ信じるってことだねィ?」

「うん…」

「好きでさァ」

今更ながら告白されているのだと、かぁぁぁと顔を赤くして小さく頷く。

「返事は?」

「そんな急には!」

「無理。もう待ちくたびれた」

きょろきょろと辺りを伺い、すうっと息を吸う。

「私そういうのよく分からないけど…多分、サドのことが好きアルー…」

恥ずかしくて恥ずかしくて泣きそうになりながらも今の素直な言葉を沖田に伝えた。
すると、沖田は神楽の手を引き、逃がさないとばかりに強い力で抱きしめた。

「やっと、か」

「私にとったらいきなりアル!」

「ハハ、そうだねィ」

沖田は微笑み、それを見てぎゅっと胸が締め付けられて、あぁ今更だなぁと思う。

前から好きだったアルか…


「よろしくってことでィ、彼女さん?」

「お前ばっか余裕でムカつくアル…」

むっと頬を膨らませて怒る姿に、可愛いと頬が緩む。

「そんなことないぜィ。むしろ余裕がないのはこっちでさァ。年上のプライドでィ」


髪の一本すらも、


(独占したいなんて感情を俺がお前に抱いてるなんて知らなかったろ?)


(っっ!!?)






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