詰め寄られなにがなんだか。

「え…な、なんでそんな関係ない人に命令されなきゃいけないんですか!?」

どこか動揺するも、私が今彼女なんだ、と無理に振り払って強気の構えを崩さないを決める。


しかし、うららと名のる3年生は余裕の笑みに汗が滲む。

「アナタたち、一体どこまでしたのかしら?」

「!」

嫌な予感と不安が頭を過る。
言葉に詰まった。

「ふ…やっぱりね。今だにぜーんぜんなんでしょ?あの総悟が手を出さないなんて。女の子も選り取り見取りな総悟は貴方みたいなお子様体型には欲情しないか〜。私のときはねぇ、すぐだったわよ」

当然神楽には怒る権利があることは分かっていた。

しかし、自分も思っていたことなだけにただの負け惜しみでしかない。

「貴方に構う理由分からないでしょ?貴方、あまり総悟には興味がない様子だったそうね。むしろ喧嘩を仕掛けることが総悟にはとても珍しかったの。でも貴方、もうすぐ捨てられるわ」

「!!?」

それも予想していなかったわけではないが、実際に言われると素直に受け止められないショックを受けた。

「本当…ですカ…?」

そう言うと悲しそうに眉を下げて神楽の肩に手を置いて答えた。

「そう。私、とてもキツイ言い方したけど、ホントは貴方の為を想って言ってるの。総悟は私を愛しているわ。だから絶対に他の子とは別れる。貴方に、辛い思いして欲しくないの」

目の前が真っ暗になった。
頭がくらくらした。

とにかく逃げたかった。

「でも総悟ってすごく優しくて人情がないわけじゃない。貴方のような純真な子を相手にしたことがないから自分からは何も言えないの。だから、すごく勝手なお願いだって分かってるけど別れて、くれないかしら…?」

自分勝手なのは私、アルか?

「っっ…!失礼しますヨ!」

耐えきれなくなりうららを振り返ることもなく、靴を履いて勢いよく逃げた神楽。

うららはゆっくりと口の端を吊り上げた。


やっぱり沖田先輩は…

そうだよネ、あんなにモテる人が私に本気なわけないよナ!

うらら先輩の方が綺麗だしスタイル抜群だし…

一方の私にはキスもまだ。


なんでこんなにも舞い上がってたんダロ。

じゃあ今まで少しの間だけど、全部、何?

あの笑顔も、褒めてくれた言葉も、優しげな行動も。


そう思ったら鼻に痛みがさして視界がどんどん霞んでいく。

「家までの辛抱アル…」

袖で目元を強く拭い家まで全速力で走った。




********




昼は先輩と食べるのが当たり前になっている

好きでもないヤツとどうしてわざわざ毎日?


ともかく空き教室を使っていた。

「チャイナ、なんで昨日電話に出なかったんでィ?メールの返信もねェし」

昨日ケータイ見てないの。
そんなこと気にもしてないくせに。
なんとも思ってないデショ?

「先輩…」

「なんでィ?」

「…別れたいネ」

「は?」

とうとう、言ってしまった。

だって、先輩は言わないから。

「…分かってますよネ」

「は、なにがッ!?」

「もういいアル!無理して付き合わなくて。私は大丈夫ネ」

「チャ…神楽、ちょっと待てよ!何言ってんだ?」

肩を揺さぶられる。

先輩ってホントにすごく演技が上手いよネ。

動揺が本物みたい。

「今まで短い間だったけど楽しかったですヨ…」

「おいッ、俺は別れねェから!」

「…ッ」

もういい。
素直に別れればいいのに。

どうして食い下がるアルか?
それに縋りたくなる。

…信じたくなる

「神楽、なん「さよなら!!」

もう止めちゃ駄目アル。

じゃないと、このまま好きのままで諦めきれないまま未来にまで引きづっちゃいそう。


やっぱり私みたいな重い子選ぶなんて、先輩は遊ぶ相手間違えているヨ…





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