会わないこと一週間。

これだけ探していて全く見ない。
会いたくて仕方がない。


寂しい気持ちが募りに募っていた時ようやく発見できた。


「チャイナ」

「先輩!おはようございますアル」


俺はまだ神楽を自由にできる資格なんてないんだ。

だからこんなに会えなくて会いたくても、文句も要望も言えない。

ならば資格を作ってしまえばいい。


「あー…あのさ」

「何アルか?」

「前から言いたかったんだけどよ…」


そこで上擦らないように一回息を吸い込んだ。


「ほ、本気で好きでさァ……付き合えよコノヤロー」


…まァちょっと理想と違う言い方だがそこは多めにみて欲しい。


「…え?えと、その……」

「なんでィ」


あたふたと目を泳がせ、みるみるうちに顔を赤く染める神楽。


「本当に「本気だっつってんだろ!逃げるのは許さねェからな!!」


返事をこの場で待とうと、じっと神楽を見つめる。


「私…」


神楽は固く制服の裾を掴み、意を結したようにおもむろに顔を上げた。

「私も、先輩のこと好きネ…」


嬉しくて嬉しくて。

ついつい神楽の身体を己に引き寄せて抱き締めてしまった。




********




そういう仲になった。
いちゃいちゃもしたいし、そういう行為も期待している。

だが時間がないのが現状だ。


学年が違うのがなんとも歯痒い。会える時間がなかなかない。


帰る時しか会えないんだ。

それなのに神楽は俺といてもボーッとしてることがままあるのが気になる。

「チャイナ、どうしたんでィ?」

心では名前だが、現実はまだチャイナと呼んでいる。
神楽照れ屋だから。


「え!?何もないアルヨ…?」


嘘だ。さっきまで俺のことをまるで忘れているようだったじゃん。

声をかけたら分かりやすく驚いて、明らかに違うこと考えてた。


「悩みでもあんの?」

「ど、どうして!?」


また驚きに目を見張る神楽は焦ってるよう。
逆にこっちが面食らう。


「いや、最近顔が険しいぜィ?」

「そ、そうアル、か?」

「うん」


また考えに耽りそうな神楽にどうでもいい話題を続けて出す。

こっちに意識を向かせる為に。

だってこのまま貴重な時間潰すなんて勿体ないじゃないか。


神楽がなんか悩んでんのは明白なんだけど、それについては分からなかった。




あーあ。
今日も神楽と帰れねェや。

委員会の仕事がどうしても忙しい。

俺が一年遅く生まれてたらなァ…
もっと近くにいれただろうに。


…俺って付き合い出してから寝ても覚めてもアイツのこと考えてるなァ。

どうしても繋がってたい。

こうやって夜に電話やメールをしてたわいもない話するのが密かな楽しみだった。


でも、何故だか今日は神楽からの応答がない。

具合でも悪いんだろうか。


俺にも委員会があるように、神楽にも他に何かあるんだろう。


当たり前のことなのに、許せないと思う俺がいる。好きになると独占欲が強い自分に溜め息一つ。




「神楽、屋上行こうぜィ」

「分かったアル」

たまらず昼も一緒に食うようになった。
なんとかかんとか一日一回は会えてる。


「ねぇ先輩」

「ん?」

「……わ、別れたい、アル」






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