真田が!あの真田に!彼女!

俺達の話題はずっとそれだった。真田の彼女とか。そりゃ見るしかないじゃろ。というわけで、翌日の昼休み、うわさの彼女を拝みに行くことんなった。

「柳柳柳!相手わかった!?」

幸村がこの上なく楽しそうに詰め寄る姿に、こっちがぞっとする。何じゃそのきらきらしたキャラ。誰。

「ああ、真田と同じクラスの遊佐佳奈子という女子だ」

「ひゃっほーい!何してんの!早く行くよお前ら!」

「相当楽しいんだな幸村君」

ブンちゃんの言葉にとりあえず頷く。真田、ドンマイ。

「遊佐佳奈子さんっていますかー!」

満面の笑みで教室のドアを開けた幸村に、教室中がしん…と静かになり、一拍遅れて黄色い声がけたたましく響いた。いつもならそこで超絶嫌な顔をする幸村が、今では笑顔であしらっている。

「邪魔だよどいて。今俺は遊佐佳奈子さんのことで頭がいっぱいなの」

「今いませんよ」

「え」

女子の声が甲高すぎて耳に障るのか、耳をふさぎながら真面目そうな男がぼそっと助言した。

「真田君とどっか行きましたけど」

正直驚いた。あいつそんな耐性ついとったんか。てっきり「女子と二人きりなどけしからん!キエエエエ」とか言うんかとおもっとった。すまん、ただの偏見じゃ。でも中学の真田は確かにそんな感じじゃったと思う。

「ふむ、奴らの行動パターンからしてこの時間は屋上にいる確率が76%で一番高い」

「それ早く言ってよ柳」