「あーてすてすっ!んんっ!皆さんおはようございます。今日もー…元気ですかーッ!」

「また今日もすべってるし」

『またおでこ広くなったんじゃない?』

「話なげー」

「まだ終わんねーのかよー」

『あと30分はしゃべるね』

『あ、あの子あと二分で倒れる』


こんにちは、私の名前は岡野流兎。急で申し訳ないが、皆さん…お気づきだろうか。コレは失敬。文字だけじゃ気づくはずないですよね。
クラスごとに二列ずつに整列している体育館。もちろん私もその中の一人としてきちんと並んで立っている。そんな生徒を先生たちが厳しく、隅々まで見ており、列を乱す人、近くの友人と話す人に関しては注意している。


「おいこら、そこの男子二人。喋るんじゃない」

「やべ、見つかった…!」

『だせー!』

『ちょっと注意されただけでびびってやんの』


先生は何も言わない。そう、気づいていないから。なぜ?声が聞こえないから。彼らに関しては何も関係ない。彼らは自由だ。誰にも見えない、聞こえない。私みたいな異質にしか。なんてかっこよくお伝えしましたが、つまり、彼らの正体は、


『わーっ!』

『『「っぎゃーーーー!!!!!」』』


そこで私の思考回路はシャットダウンした。




















校長の話がいつもどおりクソつまんなくて寝ていたら急に女の叫び声がして、回りががやがやし始めた。俺は半分寝ぼけつつ、みんなの視線を追う。


「な、なんだ!?」

「先生ー、岡野さんが叫んで泡吹いて倒れましたー」

「また岡野の奇行か」


岡野…?岡野って誰だよ…。ん?どっかで聞いた名前だな。岡野、岡野…。


「岡野っ!?今岡野って言った!?」

「きゃっ!切原君だ!」


倒れた女の名前を聞けば、岡野流兎と。間違いない、この女か。


「おい!岡野、あんた岡野流兎だろ!?ちょっと聞きたいことあっから目ぇ覚ませ!」

「あぐぅ……はっ!私はいったい!」

「おい!」

「うわああああああああああだだだだ誰ですかああああえええええ私知らん人に胸倉つかまれてるううううううううわああああああああああヤンキー怖」


その言葉を最後に、岡野という女はまた泡吹いて気絶した。この後俺はこってり先生に絞られることになり。散々だ。


「この恨みはらさでおくべきかっ…!」

「自業自得だろぃ」