なんか皆反応薄かったなー。実際見てないからだと思うけどな。あれ見てたらきっと幸村くんあたりは追いかけると思う。食らいついてきたのはアホの赤也くらいか。ますます俺が嘘言ってるみたいになっちまったなー。ムービーくらい撮っとくんだったぜ。




「丸井、さっきの話だが」


休憩時間。ドリンクを勢いよく飲んでいると、柳が汗を拭きながら話しかけてきた。さっき?さっきって何だっけ。


「あの、旧校舎の話だ」

「おー、それな。どうした?」

「俺のデータに一人、それと似た行動を繰り返す奴がいる」

「つまり」

「そいつに心当たりがある、ということだ」


たまたま聞いていたらしい赤也が興奮したようにおおー!と歓声を上げた。


「丸井先輩っ!そりゃ行くしかないっすよ!」

「はあ?どこに」

「その女のとこっす!」

「ええー…」


そこまで気になるのかよお前。自分で言い出しといてなんだけど、俺は正直、面倒くさい。あの光景にはいろいろとビビッて、是非ともシェアしたいと思ったから喋っただけだし。


「何年の何て奴っすか!」

「2年の岡野流兎という女生徒だ」

「え!俺と同い年じゃん!ぜってー見つけ出す!」


それからクラスなんかをいろいろ聞き出して、赤也はニマニマとほくそ笑んでいた。


「明日!昼休みにでも乗り込みましょ!」

「え、めんどくさ。俺も行くのかよぃ」

「先輩が言い出したんじゃないすか!ねっ!柳先輩も行きますよね!」

「ああ、いろいろとデータが欲しいのでな」

「んじゃあ三人で行きましょー!」


そんな感じで流れで明日の昼休みの予定が決まってしまったところで幸村くんから集合がかかった。その後はとりあえずテニスに集中してて、そいつの存在を思い出すことはなかった。