くっそこいつ、あぁ悔しい悔しい悔しい悔しい!なんでいま鼻で笑ったん?なんで!
「お前が俺のこと好きなんくらいとっくに承知しとるわ」
「なん、だと!?」
なんだとなんだと?誰だー漏らしたの!秘密言うたら守秘しないとだめやってー!私の乙女心バラバラなってもーたやんけー!一世一代の告白に鼻で返事され、仕舞にはとっくに承知済みときた。参ったねー、どーも。今すぐ立ち去ろう。もしくは消えてしまおう。
「おい、ちょい待てや」
「いややうちはもうあかんねん消えなあかんねんなんでかってそりゃこのことが原因なんやけど…ってあんた聞いてへんよな」
うちが息継ぎもせず頑張って説明してやったのに、財前は無表情で木を見ていた。私が気付いたときこいつは、「あ、蝉やー」なんてガキみたいなことを言ってのけた。そんなとこが可愛いなんて、うちは思ってない思ってない。
「なんで言い逃げするん」
「財前くんが鼻で笑ったから」
「………………」
「………………」
「つかその財前くんってのやめようや。名字、いつもは財前って呼ぶやん。口煩く」
「…一言多いねんあんた」
「で?俺にどうして欲しいんやったっけ?」
いきなり話を振られ戻され、しかもその言い方がなんか、アレやったから、すごいドキッとした。心臓止まるか思った。これはもう一回言わなあかん感じなん?
「ぇ、と。うち、アンタの…財前のこと好きやねん」
「それで?」
「つつつ、付き合って欲しいんですけど……」
頭から湯気が出そうだった。顔が熱い。心なしか「シュウゥゥ…」て聞こえる。
「……えぇよ」
「あぁやっぱりそうよなうんわかってたきっと無理なんやって……って、ええの!?」
「まぁそういうことや。これからよろしゅうな」
「え?あ、は…」
はい、と返事をしようとした唇に違和感。一瞬のことに固まって目をぱちくりさせたら、ふん、と鼻で笑われた。
せーやーかーらー…
笑うな
(俺がしようとしたこと、先にした罰や)
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