大好きだよ、そう君は言ったよね。ずっと一緒だよ、って。生まれつきなんだって言って少し頬を膨らまして眉にシワを寄せてさ、フワフワとカールした天然パーマを指で巻き込みながら、高くて、でも優しくて、可愛らしい声で、言ったよね。少し手が触れただけでさ、白い頬をピンクに染めて、ちょっと頭を撫でただけでさ、小さい背をもっと縮めて俺が撫でた所を自分の腕で覆って、もう身体中真っ赤でさ。そんな君をギュッて抱き締めれば、体温の低い君の体はたちまち熱いくらいまで火照って、狭い額に唇を落とせば、茹でたタコみたいに真っ赤になってさ、素直な君にますます惚れて、それで、



「、幸村」

「………」

「もう、居ないんだ」



柳がまるで諭すように言って、俺の肩に手を乗せる。真っ白なシーツの前にうなだれて、すっかりと頬を痩けさせてしまった俺を見たら、君は何て言うかなぁ?体重も落ちた。目に精気が宿ってない、って、どこかの誰かに言われてることも知ってる。でも、目から溢れるこの温かい、でも冷たい水は、何がどうなっても止まることがなくて、君がまだ目の前にいる気がして、笑ってくれる気がして、その体を真っ赤に火照らせてさ、俺にこう言うんだ。


「あのね、幸村君。笑わずに聴いてくれる?私ね、幸村君のことがね、だ、だ、だ、大好きだよ…!だからね、ずっと、ずっと一緒だよ」



───名前…




嘘吐きマリア
(無邪気過ぎるマリア様は、嘘と虚無だけを残して、消えた。)





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