すぐに屋上にいるユリコの元へ駆けつけて、ドキドキと高鳴る心臓を落ち着けるためにユリコに抱きついた。


「んほああああああああああああああああああ愛子が抱きついてくれたやばいやばい死んじゃうご馳走様です…!」


安らかな顔でカクリと首を落としたユリコに、一瞬で心臓は冷静になる。勿論それが目当てで、この気持ち悪い反応を見るためにわざと抱きついたのです。


「はああーどうしようー」

「どうしたの愛子?」

「私、わたし………好きな人ができたかもしれない」

「何ですってえええええええええええええええええええ!?」


ここが教室で、周りの皆にユリコの正体がばれちゃえば良かったのに。この屋上には今は誰もいない。悪運の強いユリコは、隠そうともしてないのに、今までその正体がばれたことは滅多にない。


「誰なの!?相手は誰!?」

「………大坪先輩…」

「、え?」

「大坪先輩…」


沈黙が下りる。ユリコが目を点にして呆けた後、んん?と言いながら考え込んだ。


「ちょっと何があったのか聞こうか」


かくかくしかじか。話をしているうちにまた思い出してドキドキしてくる。あの優しくて大きな手。はう…!ユリコは能面のようなおかしな顔をしながら、その話を聞いていた。


「そうして私の初恋(ハジメテ)は大坪先輩に奪われたのです…」

「え!!?」


大きな叫び声と、カシャーンと何かが落ちる音がして、ハッと振り向く。と、そこにはペンギンの小さな置物(プラスチック)を硬いコンクリートに落としたらしい緑間君と、変な格好で固まる高尾君がいた。







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