妄想の中では人はどうとでもなる。頭の中では人同士を争わせたり惹きあったり好きにできる。そう、そこには年齢も好みも体格も、もはや性別だって関係ないのだ。
「真ちゃん」
「高尾…」
「俺のことも名前で呼んでよ。こんなときくらいさ…」
「和、成…」
むふふふっふふふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
さっきたまたま廊下で真ちゃんが高尾がって言い合ってた二人を見てから、頭の中では二人のベッドシーンが再生されている。
「愛子ー。あれ?どうしたの?」
「え?別になんでもないけど」
「それ鏡見てから言いなさいな」
ユリコが笑って私の頬をつつく。にやけてるつもりはないんだけどね。顔が勝手に歪むんだろうね。ユリコがやっても笑顔にしか見えないのに。くそ、美人は得だな。
「天野さん!今日俺らとカラオケでもどう!?」
「あ、ごめんなさい。愛子と帰るから」
ユリコはもてる。外見がこれだからすごくもてる。男子は代わる代わるユリコとお近づきになろうとして寄ってくる。うん、外見に騙されてはならぬぞ。この子女の子と相当可愛い男の子(ショタ)にしか興味ないよ?男は男と乳くりあっとれとか平気で言うような子ですよ?それでもいいならどんどんアタックしていいと思うけど。そんなことを考えながら、話しかけてきた彼(渡部君)を見ると、あちらも私のほうを見て(睨んで?)いた。
「いつもそれな!夢野お前邪魔すんなよー」
あ。
「黙れ小僧…私と愛子の愛の時間を邪魔してるのはお前じゃああああ」
「ユリコ落ち着いて」
残念な美人が彼(渡部君)にはばれた様だ。まあ彼(渡部君)最近ちょっとしつこかったもんね。青ざめて逃げていく彼(渡部君)を見送りながら、ご愁傷様、と手を合わせた。
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