何か、何の話してたんだっけ。何かの話をしてる時に、名字が言い出した。
「おっぱいってイチゴミルク味らしいよ!」
笑い死ぬかと思った。ないだろ、イチゴミルクって。どう考えてもないだろ。妹が生まれた時、イチゴミルクの匂いなんかしなかった。
「わかんないよー、私牛乳飲めないけどイチゴミルクは飲めるもん。私がミルク飲めないから、ママのおっぱいはイチゴミルクなのかも」
「ギャッハハハハ!何言ってんだっげっふぉ!」
笑いすぎてむせた。それを見た名字がムッとする。その瞬間、力が入ったのか、名字が手に持っていたイチゴミルクの紙パックがぐしゃりと握られ、中のイチゴミルクがドバッと出てきた。反射的に手のひらをかざしてガード。
「ぎゃー!かかったー!」
「まず俺に謝れよ!」
名字の制服の胸のあたりが、薄いピンク色に染まっている。さっきの話がフラッシュバック。急いでジャージに着替えに行った名字を見送りながら、さっきかざした手のひらを舐める。名字の、甘い、イチゴミルクの味がした。
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