今日の晩御飯はお鍋にしようと決めていたんだけど思ったよりも仕事が長引いて、結局キヨと同じ時間になってしまった。本当だったら私が先に帰ってて、材料切ってお鍋用意したあたりでキヨが帰ってくる予定だったんだけど、もう9時を回ってるし、作ってたら遅くなる。仕方ない。駅からの帰り道にあるファミレスで待ち合わせをすることになった。

「おつかれさま!」

「おーす、おつかれ。走ったのか?」

「少し」

「別にいいのに」

ピロピロ鳴るファミレスの自動ドアを潜り、店員さんの何名ですかの声に指で答えて、案内された席に着く。お腹すいたよー、俺もー、なんて会話をしながらメニューを開いた。

「ファミレスに来るとメニュー迷っちゃうんだよねー」

「ファミレスじゃなくても迷ってんじゃん。俺決めた」

「はや!」

急いでメニューに目を通して、あれもこれも美味しそうで、迷いに迷って結局いつも頼んでしまうドリア。キヨにも結局な、と笑われる。

「シーザーサラダと、ハンバーグBセット。ライスで。あとドリアひとつ。ドリンクバー二つ。以上で」

キヨがサラサラと注文して、かしこまりましたー、とお姉さんが去っていく。待っている間にキヨにドリンクをきいて、自分の分と一緒に注ぎに行く。

「はい」

「サンキュー」

それから各々、携帯を弄ってみたり今日の出来事を共有したりなんかして、料理が運ばれてきたらご飯に集中。

「それ一口」

「私も食べたい。交換」

お互い美味しいって言い合って、割り勘して、夜道に並んだ。

「お腹いっぱーい」

「俺も」

「今日も疲れたね」

「そうだなー。あ」

「なに?」

手、繋ぐの忘れた。そう言って、バッグを持っていない左手でわたしの右手を掴む。たまらなく愛しい、そんな夜。





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