「あ、あんた・・・誰だ・・・?」
「・・!やはりその程度か宗家の餓鬼め・・」
「宗家・・・?」
宗家って、あの・・・
日向一族のシステムみたいなあれか・・。
・・私が、宗家・・?
「我々のことなど、覚えるには値しないと。そう言うのだな」
ばさっ、と風に煽られた男の黒装束。
その紋様を見てハッとなった。
「単刀直入に言おう、宗家嫡子殿」
皮肉めいたように、殿、と強調させた口ぶり。
その皮肉の真意などに今は気付けず、装束の紋様に目がいった。
だって、それは、
「貴様は忍に向いていない。
己の若輩ぶりを自覚し、
次期頭主の座を明け渡してもらおうか」
私と、同じ・・・・・奈良一族の家紋だったから・・・。
(どういう、こと)
知らない、
ではすませられない事態に足を突っ込んでしまったのだと、
気付くのに時間はかからなかった・・・・。