「じゃあ、また明日話そうねー・・」
まあやる気のない声で・・いつものことですが。
二人と別れて帰路を辿る最中のことだった。
(・・・?)
ざぁあ、
嫌な風が頬を撫でる。
さっきまではそこにいなかった人影が、
柳の下にぽつん、とあった・・。
(・・・誰・・忍、かな・・?)
気配が、全く掴めなかった。
そんな芸当が出来るのは忍しかいない・・柳の影に隠れて顔こそよく見えないが、
風にあわせて揺れる黒い髪と、黒い着物が特徴的な人だった。
任務帰りの忍を街中で見ることはたまにある、
おそらくその類だろうと一回は視線をよせたものの、すぐに前に戻した。
けれど、今回はそんな生ぬるいようなものじゃなかったようだ。
「うちはの餓鬼と、九尾の餓鬼を手懐けてご満悦か?」
!?
聞き間違えではないその言葉に、目を見開く。
誰だ、
この男は誰だ・・?
九尾、なんて言葉は一介の忍が使用することはほぼ無い・・
ナルトのことを話す時は悲しいかな、
大半が"アレ"だの物扱いして、九尾ということは濁すのだ・・その凶暴な強さを自然に恐れるが故。
しかし、今声をかけてきた男ははっきりと言った。
「この程度、知らぬ貴様の頭ではあるまい」
とんとん、と自分のこめかみを叩くジェスチャー。
・・・確かに、街で色々とナルトの話を耳にしたり、
図書処の最深部にある禁書扱いの本を幻術使ってごまかしながら見たり、
九尾に関する情報はより詳しく少しずつ集めてはいたけれど。
何でそこまで見越して・・・。
この男、何かがやばい
そう感じざるを得なかった。
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