「とりあえず、俺に残された時間はすごく少ねえんだ」
はしたない心が、露になってしまったら。
ああ、それでも私めは、貴方様の姿を目に焼き付けたい欲に負けてしまうのです。
「だから親父、とっととこいつ借りてくぜ」
「おう、早めに帰ってこいよーヨシノ怒ると怖いからな」
「・・・おう」
こんなに近くで目にするのははじめてで、
何を言ったらよいか迷ったところに、
若様のお手が伸びてきて。
「・・!!」
「ぼーっとすんな、行くぞ」
お前にはこれから"俺"を覚えてもらわなきゃならねえからな
手を引かれるままに、
その室を後にしたのです。
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