たら、と
冷や汗が流れました。
信じられないような単語が、頭にはりついてきたからです。

「あ、あの・・・失礼ながら、言わせて頂いてもよろしいでしょうか・・・」
「おお、何でも聞いてくれ」

からから、と普段通りの笑みを見せる親方様。
ああ、きっと聞き間違えたのでしょう。
そんな希望を持ちながら、私は勇気を振り絞って聞かせて頂きました。

「・・・・里抜け、と・・・聞こえたのですが・・」
「おお、里。抜けんのよ、近日中に息子がさ」
「・・・・・・・・・」

あまりのことに、はしたなくも聞いたままの口が開いたままになってしまいました。
瞬時に、動揺が一気に広がって、

「さ・・・里抜けを・・!?若様が、ですか・・・!?」
「そ。だからそれがバレねえようにお前に一役買ってもらいてえってわけさ」

ぐわん、
まるで、頭を鈍器でたたかれたような衝撃が、私を襲いました・・・。






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