時刻はすでに午後八時過ぎ。
夕城宅からはおいしそうな香りが換気扇から流れてくる。

「きょおっは特製カレーライスッ♪」

そこには食事の準備をする長男の姿。
世界一可愛くて大切な妹の帰りを今か今かと待っている。

ダダダダダ・・・ガチャ、バン!!

「この匂いは・・・今日カレー!?」
「大正解!!」

鍵を乱暴に開けて、妹が急いで家に帰って来た。

「やったー、お兄ちゃんのカレーおいしいんだよねー!」
「おかわり一杯あるからな、どんどん食べろよ!」
「はーい♪」

言わずもがな、カレールーも白飯も・・他の家庭の二倍はある。


「「いっただっきまーす♪」」


大食い兄妹は何とも幸せそうに夕飯を食べ始めるのであった・・・・。

「ねぇ、お兄ちゃんて大学専攻中国哲学でしょ!」
「ん?あぁ、そうだけど」

美朱の三杯目のおかわりにたっぷりとカレールーをかけて渡す。

「<<四神天地書>>って知ってる?」
「・・・さぁ・・・聞いたことないな。四神は分かるけど」
「あのね、今日図書館でね・・・」

美朱の次の言葉を待ってみたのだが・・・美朱はちょっと考える素振りを見せて。

「・・・あー、やっぱ大丈夫。聞かなかったことにして!」
「・・・・アヤシイ・・・・」

じとっとした目つきで美朱を見る・・・。

「何でもないってば!ご馳走様!」
(・・・男関係の話だったら・・・許さん!!)

下心丸見えのオーラが怖いくらい紅蓮から出ていた・・。



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