「あーあ、しぼられたしぼられた!!」

その日の夕方、大学近くのファーストフード店。
赤髪の青年・・・・夕城紅蓮は哲也他、友人と話をしていた。

「ったり前だろ!大学生が講義中に居眠りとか考えらんねぇぞ!!」
「いやぁ・・・先公に食べ物取られた夢見てさぁ・・・」

喋りながらも飲み食いする手は止まらない。
今の時点でハンバーガー三個完食だ。

「お前らしいっつーか何つーか・・・」
「・・・・そうだ、紅蓮。お前結局どこ就職すんのか決めたのか?」
「いひゃ?ひふはあ・・・・」

もごもごと口を動かすが食べ物が入ったまま話しているため何を言っているのか全然分からない・・・・。

「喋るか食うかどっちかにしろ!てゆうかもう食うなこっちが胸焼け起こすっ!」

哲也の言葉に急いで五個目のハンバーガーを頬張り、水で一気に流し込む。
ごくん、と飲み干し・・・一息ついて紅蓮は話し始めた。

「いや、実はさ・・・・まだ決まってないんだよ」
「えっ!?大丈夫か!?そろそろ決めとかないと来年から大変だぞ!?」
「・・・・お前ら、決まってんの?」

紅蓮の問いに全員が深く頷く。

「大学ってのはだいたい進路決めてから入るもんだろ・・・」
「なのにお前ときたら・・入学してからずーっと今日みたいな調子じゃねぇか・・」
「俺、別に就職に有利だとかなんとか・・・そんなんで大学入ったわけじゃねぇしなー・・・」
「じゃ何で来たんだよ・・・」
「・・・「高校出てから家でゴロゴロするのだらしないよ。」・・・・って言われたから・・・」

その台詞に一同がため息。
・・・・・紅蓮にそんな声をかけた人物・・・・台詞の主語が言わずとも分かっていたからだ。

「・・・美朱ちゃんにそう言われたんだな・・・」

美朱、とは紅蓮の妹である。
紅蓮と同じ赤い髪で性格は明るい子。
美人ではあるのだが・・・・あろうことか紅蓮と同じく大食らいな子だ。
そして何を隠そう、この紅蓮・・・・超が何個もつく程の極度なシスコンなのだ・・・。
妹の自慢話をしょうちゅう聞かされるこのメンバーはいつも苦笑いであった。

「美朱の頼みだったら断るわけにもいかねーじゃんか!!卒業間際に急いで偏差十くらい上げたんだからな!!
それに、美朱もこの大学入りたがってたし・・それまで留年して一緒に通学なんてのもいいよなっ」



・・・・・学業を完全に舐めてんなコイツ・・・。



全員が心の中で突っ込んだ。

「ん・・・おぉっ!?もうこんな時間か!!」

時計はもう五時を過ぎている・・・水と氷をざらーっと喉に流し込む。

「あれ?もう帰んのか?」
「おお!!美朱が塾から帰って来る前に晩御飯作ってやらないとぉーーーーっ!!」

バビュン!!
・・・・飛んでゆくように紅蓮は走り去った。

「・・・・あいつ、これからまた飯食うのか・・・?」

テーブルの上に残された残骸は・・・明らかに普通の人間が食べれる量ではなかった。

「どんな胃袋してんだよ・・・」



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