眠い。
お経のように聞こえる先公の声。
俺は眠気に負けてすぐ眠りについた・・・。
―第1話 導かれし朱の兄妹―
目の前には、俺の好きな食い物ばかりが乗ったテーブル。
『うっわー、美味そう!俺の好きな物ばっかじゃねーか!』
いっただっきまーす!
・・・・そう言って箸を皿に伸ばす。
ところが。
『あり?』
スッ、と目の前の食べ物は一瞬で消えてしまう。
聞こえてきたのは嘲笑うかのような声。
<あきらめろ、夕城紅蓮・・・大学生に食事はいらない>
<今のお前に必要なのは勉強だけだ!!>
『へ!?』
<さぁ、勉強の時間だ!!>
<その程度の成績で就職出来ると思っているのか!!>
<また公式を間違えたな!!分かるまで立ってろ!!>
<答えろ夕城!!>
オ・・・・・
「俺の飯返せバッキャローーーーーーーッ!!!」
ドカッ!!
「ぐへあっ!!」
・・・・・・ドサッ・・・・・
「ピザにラーメンにケーキetc返せ先公ォーーーッ!!」
ドカッ、ドカッ!!
「紅蓮!!バカ、目ぇ覚ませ!!」
親友の哲也の声に気付き、ようやく意識が覚醒する。
床に倒れてる先公。
その先公を踏んづける俺の足。
「・・・・・おろ?」
「おろ?じゃねーよバカ・・・・」
皆、唖然とした表情でこっちを見ている。
キョロキョロと見回す・・・・ここは、大学の教室。
「なーんだ、夢かぁ・・・・」
キーンコーンカーンコーン・・・・
講義の終了を告げるチャイムが静かに響き渡った・・。
>