PUNCH!
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用語集 []


トレーナーの先輩


 ポケモンセンターとは、ポケモントレーナーなら必ず利用したことのある、重要な施設だ。ポケモンの回復がタダな事と、ジョーイさんがみんな同じ顔であることで有名だ。
 実は宿泊施設も兼ねていて、宿泊費もタダだ。食事は有料だけど、お手頃な価格で、それなりに美味しいので、駆け出しのトレーナーには大好評。ベテラントレーナーでも、懐かしい味だと言って、たまに食べに来ることがあるらしい。

 大抵どの街にもあり、誰でも気軽に利用できる。

 多くの人が出入りするので、情報収集にもうってつけだ。



 オレは、アギトとのバトルの疲れを癒すために、ヨシノシティのポケモンセンターにいた。回復自体はすぐに終わったので、今はポケセンの中を探検中だ。


 親切なおじさんにパソコンのことや、食堂のこと、宿泊施設の事を教えてもらい、とりあえず今夜の寝床を確保することにした。



「はい、ごゆっくりどうぞ。センターから出る際には、鍵を戻してくださいね」
「はい、わかりました」


 ヨシノのポケセンは小さい方で、泊まれる部屋は10部屋だけ。でも今見てみたところ、5に満たない数しか使われておらず、やはりこんなところにまで来る人はなかなか居ないってことなんだろう。

 もう夜も遅いし、さっさと飯食って寝よう。まずは食堂にいってみますか。

 ……と、思ったんだけどなんか入り口の方が騒がしいな。気になるし、行ってみますか。



 声のする方に行ってみると、緑色の大型のポケモンを連れた、青年……というよりはまだ少年かな、年はたぶんオレとほとんど変わらないだろう、少年がいた。


 みんなは、見たことのない緑色のポケモンに釘付けのようだ。
 緑色のポケモンはだいぶ疲れているようだった。バトルをしたとかじゃなくて、長時間の移動みたいだ。羽がついているし、きっと少年を乗せていたんだろう。


 それにしてもかっこいいポケモンだ……。こういうときこそポケモン図鑑!
 だが、そのポケモンは載っていなかった、つまりこっちには生息していないんだろう。残念だ。



「それってポケモン図鑑?」
「え、あ? うん」

 図鑑を見ながら落ち込んでいると、少年がいきなり話しかけてきた。つい反射的に答えてしまったが、すごく心臓に悪い!

「ところで、もうご飯食べた?」
「い、いや、まだですけど……」
「じゃあちょっと飯食べながら話そーぜ」
「えー……ちょ、まだいいとか一言も言ってないんですけど!」
「まーまー気にすんなって!」

 オレの手を掴み、ぐいぐいと食堂に引っ張っていく少年。こいつ…人の話を全く聞かねえ!! めんどくせえ!!
 その後、抵抗むなしく食堂に連れていかれ……

「結局こうなりました」
「え? なんか言った?」
 いいえ何でもありません、何でもありませんとも! このKYが!
 オレの目の前にはほっかほかのカレーライス。美味しそうだけど!

「つーかアンタ誰だよ!」
「あれ? 名乗ってなかったっけ? 俺の名前はユウキ。昔はホウエン地方で図鑑集めしてたんだ。君も図鑑集めしてるんだろ? 名前は?」
「ヒビキです。まあ、まだ駆け出しの新米ですけど。一応図鑑集めしてます」

 ユウキさんはオレの図鑑を見て話しかけてきたらしい。最初に言ってほしかった。


「俺はホウエン地方のポケモンのデータをウツギ博士に届けに来たんだ」
「へえ……そうなんですか。てことは、あの緑色のポケモンはホウエンのポケモンなんですね」
「そ。フライゴンって言うんだ。ホウエンからジョウトまで乗せてもらってきたんだ」

 そう言ってユウキさんは、腰につけたボールからフライゴンを出した。もう時間も遅く、食堂にはほとんど人がいないから、大型のポケモンを出してもなにも言われなかった。オレもヒノアラシを外に出してやった。ボールの中は退屈そうだし。


「立派なポケモンですね。それにユウキさんによくなついてる」
「だろ? そのヒノアラシもだいぶなついてるように見えるけど」
「まだ出会って3日しか経ってないんですけどね」
「ポケモンに好かれるのも立派な才能だよ」
「そうかな……」

 オレはヒノアラシの喉元を撫でた。ヒノアラシは俺の手に擦り寄るようにしている。気持ちいいのだろうか。

「やっぱりヒビキには才能があるのかもな。駆け出しってことはこれから各地のジムを回るのか?」
「そうしようと思ってます。もっと強くならなくちゃいけないし」
「強く……か。どうして強くなりたいんだ?」

 ユウキさんはオレに真剣な目を向けてくる。その、心の中を見透かされるような視線にたじろぎながらもはっきりと答える。


「金儲けのためです」


「……え?」

 もっと良い答えが帰ってくると思ったのだろう。ユウキさんはポカンと目と口を開いて唖然としている。
 まあこういわれたら誰だってこうなるだろう。それを期待してあえてこういう言い方をしたんだけど。

「家が火事になっちゃって、お金が必要なんです」
「……あ、そう。最初からそう言えよ……」
「誤解したのはユウキさんでしょ」

 がっくりと肩を落とした結城さんが、ジロリとオレを睨んだ。

「お前なあ……まあ、ひっかかった俺も悪いけど。他の人にはそんな言い方すんなよなー?」
「はははっ善処します」
「ぜってぇ善処する気ねえよコイツ……」


 すっかり冷めたカレーライスを食べながら、オレはユウキさんと話した。
 歳はオレの2つ上らしいけど、なんかうまく言い表せない貫禄みたいなものを感じた。きっといままでの人生でオレよりも多くの事を学んだ結果なのだろう。

 いつかオレの旅が終わったときに、こんな男になれたら良いと、ぼんやり思った。


「ヒビキ? ボーッとして、どうかしたか?」
「いや、ちょっと考え事してました」
「なに、どんなこと?」
「旅が終わったときに、ユウキさんみたいになれたらなあって」
「えっ? そんなこと考えてたのかよ。恥ずかしいやつだな」
「はははっ恥ずかしいのはユウキさんだけでしょ。オレは真面目に言ってるんですから」

 ユウキさんは照れたように目をそらしながら最後の一口を掻きこんだ。オレも急いで食べる。冷めてたけどなかなか美味しかった。これで安いんだから、ポケモンセンター、侮れん。


「ごちそうさまでした。で、何でそう思ったんだ?」
「ごちそうさまでした。えー、それ聞いちゃうんですか」
「だって気になるし!」

 さっきまで恥ずかしいとか言ってたくせに、羞恥心より好奇心が勝ったらしい。目を輝かせてオレの言葉を待っている。こう見ると年上と言う感じがしないんだけどなあ。

「まあいいですけど……なんと言うかユウキさんって子供なのに大人みたいな感じがしたから」
「まあ、一応年上だしな」
「そういう大人じゃなくて……なんと言うか、経験の差? みたいな、何て言ったら良いんだろう……普通じゃない何かみたいな、うまく言えないんですけど。とにかく、オレには無いものを持ってるから、旅が終わったらそれがわかるのかなって思ったんです」

 するとユウキさんは何やら納得したように、首を上下に降りながら話始めた。

「なるほどな。確かに旅をすると、言葉にはできないけど何かが変わる。大人に近づいてるって言っても良いかもしれないけど、実際俺は旅をする前と今では、確実に何かが変わった。考え方とか覚悟とか、目に見えないものが確立したような気がする」


「それにユウキさんって強いでしょ」
「何でそう思う?俺はまだ15だぜ?」

 ニヤリと口を吊り上げて結城さんが問う。

「まず、生半可なレベルのポケモンだとホウエンからジョウトまで乗せてくるなんて無理です。それよりもリニアに乗った方が早いですし。それに、15歳って言っても、ランニングシューズがそこまで使い込まれてるってことは相当な距離を走った、旅をしたってことですよね?」

 オレはまるで探偵にでもなったように、次々と理由を言った。ユウキさんは最初の意味深な笑顔から、ゆっくりと感心したような顔になる。

「よく見てるなぁ。その通り。俺はホウエンの中は全て回ったよ」
「ホウエンリーグも?」
「あぁ。制覇した」
「すごい。やっぱりユウキさんは強いんだ」
「大抵のやつは、俺がガキだからって甘く見るんだけどな。やっぱりお前は才能あるよ。観察眼もかなりのもんだし。普通はそういうのって旅する中で何となくわかるもんなんだけど」

 ユウキさんは大きくため息をついて、オレを見た。ユウキさんが旅を始めた頃と比べているのだろうか。


「才能の有る無しは置いといて、オレもチャンピオン目指してるんです。いつか俺がチャンピオンになれたら、バトルしてくれませんか?」

 オレは、ユウキさんの目を見て言った。今は絶対に敵わないけれど、この人と戦いたい。だって男の子だもん! ……ってのは冗談だけど、やっぱりオレの中の何かが、ユウキさんとのバトルを望んでいる気がするんだ。

「実質ホウエン最強の俺に勝負を挑むとはいい度胸してるな! 良いよ、いつでも相手になってやる。なんかよくわかんねーけど、お前ならきっとチャンピオンになれる。そんな気がする。ま、チャンピオンになったところで、俺に勝てるかってーと話は別だけどな」

 こうしてオレはユウキさんといつかバトルする約束をした。
 その後、お互いポケギアに番号を登録した後に別れた。

 オレは部屋に戻り、いつかユウキさんとバトルすることを夢見ながら、これからの旅に思いを馳せるのだった。



 ホウエン最強のユウキとの出会い、そして約束






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 これはフラグです(笑)

 この話はだいぶオリジナル臭がしますね……この話が後々生きてくるわけですが……まだまだそこまでが長い


自分設定で
レッドが16
ユウキが15
コウキが14
ヒビキが13
になっています。

 みんな旅を始めたのが13からと言うことにしています。

 公式で金銀は初代の3年後の設定になっているのでそこはまあ問題なし。
 ユウキが15なのは特に理由はないのですが、強いて言うならダイゴさんがプラチナと金銀に登場するからですね。ダイゴさんはエメラルドから元チャンピオンになるということで、ふらふらと他の地方に遊び歩けるようになったと言う解釈で。
 コウキがヒビキの年上なのはミカンちゃんがアサギに居たからですね。その時はまだ衣装は変わっていなかったような気がするので。
 まあ、私の中の勝手な設定なので、これが正しいわけではありません。ただ私の中ではこうなっていますって伝えたかっただけです。

 どうでもいいですけど強さ的にはこう考えています。

レッド>コウキ≧ユウキ>ヒビキ

今は一番下のヒビキですが、将来的にはレッドに匹敵するトレーナーに……個人的にはいつまでもレッドさんには最強でいてほしいんですけどね(笑)

それではこの辺で切ります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

誤字脱字の報告、感想などいただけると嬉しいです。


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