ゴーストタイプ
結論から言うと、ポケモン捕獲はできなかった。俺の想像よりもこのマツバ少年は厄介だった。まずマツバがいると何のポケモンも寄ってこないし、近づいていっても逃げられる。試しに俺が近付いて抑え込んでもマツバが近付くと全て逃げていくのだ。
そんなこんなでもう夕暮れ時。そろそろあたりが暗くなり始め、良い子は帰宅する時間である。そしてゴーストタイプのポケモンが活動を始める時間でもある。
ゲームを知って居る俺は、これはきっとフラグなんだろうと確信している。ゴーストタイプだけがマツバに懐くとか、そういうあれなんだろうきっと……。
「そろそろ暗くなってきたな……」
「うん……ごめんねこんな時間まで付き合わせちゃって……」
「いや俺は大丈夫だけど」
「そろそろ帰ろうか?」
この様子からして、マツバはいつも昼間にポケモンを捕まえようとしていたようだ。きっと夜になればお似合いのポケモンに出会えるはずだ。
「マツバあきらめんの早すぎ。ポケモンは昼にしかいないわけじゃないだろー?」
「そ、そうだけど……ゴーストタイプのポケモンって苦手で……」
な、なんだと……まさかの展開過ぎるだろ! 未来のゴースト使いがゴースト苦手って予想外すぎるわ!
「苦手ってなんで……かわいいじゃん」
自然と口調もあきれを含んだものになる。
「……山で修行してるときによくゴースの群れがぼくの周りに集まってくるんだ……その時に周りを笑いながらぐるぐる回られたり顔をなめられたりしてからこわくて……」
しょんぼりしてるとこ申し訳ないが、それってめちゃくちゃなつかれてないか?
そこまで熱烈にアピールされてるのになんで気づかないんだ……鈍いにもほどがあるだろう……。
「そんなに集まってくるならゴースたちを捕まえればいいじゃん……」
「でも……」
「多分それはいやがらせとかじゃなくて、かまってほしいだけだと思うぞ? おれもポッポに囲まれたときに軽くつつかれたりするし」
するとマツバは驚いたように目を見開いた。
「本当に!?」
「おう」
「じゃあ今から捕まえにいこうよ!」
「だな。そのいつも修行してるところにつれていってくれよ」
「うん」
そうして俺たちはエンジュシティの外れにある修行場へと向かったのだった。
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今回は前フリなので短め
文中の会話で俺とおれが出てきますが、会話文はおれをつかっています。理由はまだ8歳そこらの少年なら若干舌足らずなはず!という筆者の下らないこだわりです。
成長すれば地の文と変わらなくなると思います。
それにしてもなかなかすすまないなあ…
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