PUNCH!
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シロガネやま


 周りの木々が振動しているような錯覚に陥るほどの激しい咆哮。怒りで我を忘れているリングマがマツバに向かって腕を振り上げた。

「ガーディ! すなかけ!! ゴースト! あやしいひかり!!」

 俺はとっさに叫ぶようにガーディとゴーストに指示を出した。
 ガーディが蹴った砂は運良くリングマの顔にかかり、一瞬ではあるがリングマを止まらせることができた。その隙にゴーストのあやしいひかりが命中し、リングマは訳もわからずマツバとは離れた所に攻撃した。

「今のうちに逃げるぞ! こっちだ!」

 そして俺たちは運良くリングマから逃げることに成功した。しかし最後のあやしいひかりは部の悪い賭けだった。さいみんじゅつとあやしいひかりを天秤にかけ、より命中の高いあやしいひかりを選んだのだが、上手くいってくれて本当に助かった。

「このまま進んでいけばポケモンセンターがあるはずだ。それまでは気を抜くなよ」
「カズヤ……ありがとう」
「あー、うん。ところで、どうしてあんなことになったんだ?」
「それが……」

 紫の何かが通り過ぎてから、マツバは反射のように走り出していた。いつの間にかあたりが霧に包まれていて、見失わないために後ろを振り返ることもしなかった。

 しばらくして少し開けたところに出た所で、紫のポケモンは止まって振り返った。そのポケモンは間違いなく"見た"ポケモンで、すぐに戦闘を開始した。

 いざモンスターボールを投げようかというところで、目の前をヒメグマが通り過ぎた。もちろんヒメグマを捕まえるつもりはなく、ヒメグマよりも遠い位置に居るポケモンを狙って投げたので、普通よりも強く投げたモンスターボールがヒメグマの頭に当たった。開閉スイッチに当たらなかったため、ボールに入ることはなかった。

 そうとう痛かったのか、ヒメグマが泣きだした。そして次の瞬間、目の前のに紫のポケモンが飛んできた。状況が理解できなかったがとりあえず受け止めることに成功し、前を見ると、ヒメグマの泣き声を聞いて駆け付けただろう、怒り心頭のリングマがいたというわけだ。


「まさかこんなことになるなんて思いもしなかったよ」
「なんというか、本当に運が悪かったんだな……」


 そんな話をしているうちに、遠くに人工的な明かりが見えた。慎重に近付くと、それは俺たちが探し求めていたポケモンセンターだった。
 俺たちは今までの疲れも忘れ、ポケモンセンターに向かって走り出した。

 温かい室内に入ると、ポケモンたちの回復を頼み、今日のところはもう夜も遅いので休むことにした。



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