PUNCH!
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ここはどこ?


 衝撃の事実が発覚してから早8年。ポケモンがいる生活にも慣れ、地獄のチャイルドプレイも卒業した。この件に関しては俺の男としての沽券に関わるのでなにも言わないことにする。推して知るべしということだ。

 つまり俺は8歳な訳だが、両親にはちょっとませた子供ぐらいの認識しかない。それも、この世界には義務教育がないことと、ポケモンというイレギュラーが存在していたことで、俺がビビりまくっていたからだろう。


 ちなみに俺が住んでいるのはジョウト地方のエンジュシティ。古い町並みが美しい町だ。
 ゲームとは違いやけたとうはなく、代わりにカネのとうが建っている。カネのとうにはルギアが羽を休めに来るという伝説があるらしい。伝説の3犬についてはよくわかっていない。昔死にかけてた3匹を不思議な力でよみがえらせたところまでは記録があるのだが、その後のことには一切触れられていない。是非一度とうのなかを調べたいのだが、スズのとうはゲーム同様にエンジュのジムバッチが必要で、怪しげな雰囲気がぷんぷんするカネのとうも、同様にバッチが必要なのだ。
 手っ取り早くバッチをとりたいところなのだが、さすがに8歳では旅に出ることはできないし、面倒なことにエンジュのジムに挑戦するには3つ以上のバッチが必要なのだった。


「そもそもじぶんのポケモンがいないんじゃおはなしにならないしな」

 俺は読んでいた『ジョウト地方の歴史』を閉じると父親の部屋の本棚に戻す。
 父親は過去の文明や歴史を解き明かすために世界各国を飛び回っているため家ではいつも母と二人だ。1ヶ月ほど音沙汰がないなんてことはしょっちゅうで、半年に一度帰ってくればいいほうだ。1年間居なかったこともある。とにもかくにも歴史の専門家(ただの馬鹿ともいう)な父の本だからもちろん8歳児が読むような本ではないのだが、そこはきにしないふりだ。
 幼児退行したためかはわからないが、どうにも知識欲がとどまることを知らないのだ。ポケモンと言う未知の生き物をもっともっと知りたくてたまらない。前世にはなかったが、生きる目標、やりたいことがあるということは本当に素晴らしいことだと、人生2回目の俺が言うんだから間違いない。


 それにしても暇だ。昔の俺がこのくらいの時はどうやって暇を潰していたのだろう。もちろん記憶などないので検討がつかない。あまり家にばかりいると母に心配をかけるし、気になった本はあらかた読み終えてしまった。
 まあじっとしてるのは性に合わないので近くの公園のポッポとたわむれに行こうかな……。



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