次の目的地
「ワカバタウンに行きたい?」
あのあと部屋に戻るとマツバがワカバタウンに行きたいと言い出した。
「俺は明日からガーディの育成で忙しいの! ドジッ子ジュンサーさんからボールも受け取らなきゃなんねぇし。行きたきゃ1人で行けばいーじゃん、そんな遠くないしさ」
「それじゃだめなんだよカズヤも一緒じゃなくちゃ」
なんだこの「お父さんと一緒じゃないとやだやだ〜!」みたいなノリ?
「俺はお前のお父さんじゃありません!」
「誰もそんなこと言ってないよ。そうじゃなくて! "みえた"んだよ! 僕とカズヤがワカバタウンにいるところが」
あ、なんだそういうことか。なーんだ俺あせっちまったよ……そうならそうと最初から言えよな〜。
「ワカバタウンに行けば新しい出会いがある。そんな気がするんだ」
「そういうことならしょうがねぇな。明日にでもいってみるか」
もちろんジュンサーさんに会ってからだけどな!
「本当にごめんなさい!」
「いやいやほんと気にしてないんで、そこまで謝らなくて大丈夫なんて!」
だからさっさとボール寄越してください。とは言わなかった。俺マジ偉いと思うんだ。
朝になるとガーディは大分良くなり、ジョーイさんから退院OKのお墨付きをいただいた。
それはいいことなんだ、が。そのガーディは何が楽しいのか俺の足に噛みついたまま離れないのだ。
怒っている、わけではない。現にガーディの尻尾は忙しなくフリフリと振られている。
はじめはモロ足を噛まれたので叱るとしゅんと耳を垂らしてうるうるの目で見つめられた。次の瞬間に俺は反射のようにガーディを許してしまっていた。
実はこれわざとなんじゃねーか? とも思ったが、まさかね、そんなはずないよな。うん、ガーディだもん。別に自己暗示してる訳じゃない……たぶん。
そんなわけで今、俺のズボンの裾はガーディに噛みつかれている。すごく歩きにくいことと、時々歯が当たることと、裾がよだれでべちゃべちゃなこと以外は特に問題はない。いや、問題しかなかった。
というわけで、さっさとボールをいただきたいわけです。えぇ。
この状態を見たジュンサーさんは「まぁ! ずいぶんあなたになついてるのね!」という、予想通りの言葉だった。
謝り続けるジュンサーさんをどうにかなだめすかし、ボールを手にいれた俺たちは、ワカバタウンに向けて旅立ったのだった。
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現在の手持ち
ゴーストLv.28(おくびょう)
ガーディLv.12(むじゃき)
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