PUNCH!
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突撃!キキョウジム


 バトルフィールドにはシャドーボールのせいですごい砂ぼこりだ。ゴーストはどうなったのだろうか、ウツボットは倒れたのだろうか。まさかこんな重要な場面で外したりしてないよな!?

 焦らすようにゆっくりと煙が晴れていく。まず目に入ったのはゴースト。奥にはウツボットがいるはずだが……。息をのんで見守っていると地面に伏せたウツボットが見えた。つまり……−−

「勝った……のか?」
「おみごと! おまえさんの勝ちじゃ」

 長老の声で実感がわいた。勝った。勝ったんだ!!

「勝った! やったぞゴースト!!」

 俺は嬉しさのあまりすでに満身創痍のゴーストに抱きついた。ゴーストは痛がるそぶりも見せず嬉しそうに鳴いた。

「わしの切り札に勝つとは……おまえさんなかなかやるの」

 そう言って長老は俺にフラッシュの技マシンを渡した。ゲームではこんなのイラネって思ってたけど、こんだけ苦労して手に入れたんだ、なんだかすごく大事なアイテムのような気がしてきた。


「そういえばマツバは……?」

 後ろを振り向くと、いつの間にかマツバがいない。もしかしてもう帰った?


「さっきの少年なら」ゴースを連れてポケモンセンターに行ったよ」

 と、親切な坊さんに教えられ、長老へのあいさつもそこそこに塔を降りたのだった。





 その後、ポケモンセンターに行くとマツバは鬱モードに入っていた。どうやらホーホーで積んだらしい。ゴースト使いとして、それは仕方ないことだがそのままではいけないと対策を練るらしい。まあ、レベルの関係上ゴースの技がすごく貧弱なのも理由の一つだと思うんだけど。


「とりあえずはマダツボミの塔は後回しにして先にジム戦でもいいと思うんだけど」
「確かに相性とかあるし……一回ジム覗いてみようか」



 とりあえず覗くだけということで俺たちはジムに向かった。

 このときの俺は、ひこうタイプなんて電撃でイチコロ……と、おもにハヤト的な意味でなめくさっていたわけだが、マツバが俺の隣に居る通り、ジムリーダーが違うということを軽く考えていた。人が変われば当然難易度が変わるということを身をもって実感するのはもう少し先である。




 キキョウジムの外見はとくに筆頭すべきところもなく。一見普通のジムに見えた。中から不気味な音が聞こえたりなどということもなく、いたって普通のジム。初心者が安心して挑戦できるようなイメージ。
 中をのぞくと、なかは薄暗く、今日はジムはおやすみかと思ったぐらいだ。しかし奥からかすかに人の声が聞こえるのでたぶんこれが通常運転なのだろう。

 入口に少し足を踏み入れてみると、入口付近に黒いサングラスのおじさんがおり、あのゲームでよく見るアドバイスをくれるおじさんだということが分かった。


「よう少年。ジムに挑戦するのか?」

 おじさんに話しかけられ、マツバは真っ先に首を横に振った。そもそもキキョウジムは最初のジムだし、25レベルもあれば勝てるんじゃないか?そう思った俺はゴーストの実力試しも兼ねて挑戦することに決めた。


 いわゆるジムトレーナーというモブトレーナーはらくらく倒せたので調子に乗った俺は、勢いのままジムリーダーに挑戦することにした。




 キキョウのジムリーダーは短い黒髪のさわやかそうな年齢不詳だった。若く見えるが貫禄のようなものがみえ、彼がただものではないことが見て取れる。もしかしたらハヤトのお父さんというのはこの人かもしれない。……そうは見えないけど。


「ようこそキキョウジムへ。私はジムリーダーのソラだ。準備はいいか?」


 ソラさんは大きくボールを振りかぶりバトルフィールドに投げつけた。そこから飛び出したのはピジョンであり、やっぱりここで出てくるひこうタイプはポッポ系だろうとアタリをつけた。レベルも20とゲームよりは高いが勝てないレベルではなく油断していたのだ。
 マダツボミの塔で長老がマダツボミを出したように、キキョウジムのジムリーダーが切り札を使ってきてもおかしくないというのに、その時の俺は何も危機感を持つことなく、ただ漠然と勝てると思い込んでいた。

 それが間違いだったと知るのは3体目。ピジョンでも来るのかと思いきや、出てきたのはまさかのエアームドだった。なにをいっているのかわからねーと思うがryつまり、そのくらいに混乱していたということである。


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