VS 長老
ポケモンセンターに一泊した俺たちは、ただいまマダツボミの塔で修行中だ。
ゲームとは違い、坊さんのマダツボミたちのレベルが10〜20と高めだ。やっぱりゲームではカントーの事もあり、レベルが低めに設定されていたんだろう。
「はー、やっぱりゴースだけじゃあ厳しいな」
「しかもカズヤは1匹しかいないからね」
「そろそろ新しい仲間集めもしないとなあ」
そんなことを話しながらも上へ上へと上っていく。
ゲームではせいぜい3階建てくらいだったが、塔と名のつくように、今現在10階付近まで上ってきているが、まだ終わりが見えない。
それにしても中心の柱は本当に揺れているんだな……どうやって揺れているんだろうか、マダツボミどうこうと言う回答は募集していない。
「あ、次で天辺みたいだ」
マツバが指差す方を見ると、次が天辺だから気を付けろよーみたいなことが書いてある紙が張ってあった。変なところで親切である。その親切心で梯子を階段に変えてほしいものだ。梯子で塔を登るのは想像以上に辛い。一般家庭とは天井の高さが段違いだし。
「よし、じゃあさっさと修行終わらせよーぜ!」
ファイト一発気合いを入れて梯子に手をかける。
そして最上階にはゲームとは比較にならない数の坊さんの姿が。少なくとも20は固いと思われる人数に、俺の頬も自然とひきつる。
マツバもこの人数は予想していなかったらしく唖然としていた。
坊さんたちのマダツボミは、俺のゴースから見れば格下で、勝てる相手だ。されど数が集まれば厄介なことにかわりなく、小さなダメージが確実にゴースに蓄積していた。
ゴースの体力はもうとっくに黄色になり、そう気楽に考えられる状態ではない。ここで傷薬を使うのは簡単だが、こんなにたくさんの坊さんに囲まれながらセコセコと傷薬を使うのはなんだか癪だ。
勝つとわかっているバトルほどつまらないものはない。やっぱりバトルは勝つか負けるかギリギリの戦いであるべきだよな!
「よくぞここまで参られた。私がここの長老。準備はよろしいかな?」
そしてお互いにボールを開く。最初に出てきたのはマダツボミ。こちらはもちろんゴース。
体力は減っているけど、ゴースはまだまだ戦える。それを証明するかのように、マダツボミを一撃で沈める。
次に繰り出されたのはホーホー。ゴースとの相性的には最悪に入るポケモンだ。何せゴースト技が効かないくせにエスパー技が使えるんだからな。特性のせいで催眠も聞かないし。だが、俺のゴースはそこらのゴースとはひと味違う。
「あくのはどう!」
そしてホーホーも楽に倒すと、長老はニヤリと笑う。
ゲーム遵守で行くなら、次に繰り出されるのはマダツボミのはず。たぶん。最近前世の記憶が薄れてきていると実感する。ストーリーの細かいところなんかはもうほとんど覚えていない。まあ、あまり覚えておくべきものもないような気がするので、紙などに写したりはしなかったのだから、別に文句を言うつもりはない。
ボンヤリとしていた思考は、次に長老が繰り出したポケモンで吹っ飛んだ。
「ゆけ! ウツボット!」
な、な、なんだと!? ウツボット!? 聞いてねーよ! 何でこんな序盤の序盤でウツボット!? 俺が目に見えてうろたえているのが可笑しかったのか、長老はしてやったりと言う表情で笑っていた。
「本当は出す予定はなかったんじゃがの。お前さんも退屈じゃろうから、さーびすじゃ。ほっほ」
こんなサービス要らねえよ! いじめか、いじめなのか!
いつまでも嘆いているわけにはいかない、まずは相手を分析する。
確かに相手はウツボットだけど、レベルは25、ゴースが今24だからそこまで差がある訳じゃない。それにウツボットはそこまで耐久に優れている訳じゃないし素早さもたぶんこっちが勝っている。恐らくシャドボ2発で倒せる。……はず。
しかしまずは戦ってみないとわからない。様子見の意味も兼ねて、シャドーボールを放つ。俺の予想通りにウツボットの体力は半分以上削られた。これで勝てる。しかし次の瞬間にそれは間違いだったと知る。
「ウツボット、しびれごな」
俺の願いもむなしく、ゴースに黄色の粉が降りかかる。間違いなくゴースは麻痺しているだろう。バックの中に麻痺直しの薬はない。しびれている隙をついて、ウツボットがはっぱカッターを繰り出す。このままやられるしかない。そう思ったとき、ゴースのからだが光りだした。
変身中は攻撃しない法則でもあるのか、ウツボットもただ光を見つめていた。
光が収まると、そこにはゴーストの姿が。光だした時に予想はしていたが、実際目にすると感動ものだ。
長老もウツボットも動かない。それを打ち破るようにゴーストが一声鳴いた。なかばつられるようにゴーストに指示を出す。
「ゴースト! シャドーボール!」
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久々の更新?
でももうすぐテストなのでしばらく更新できないかも。逆にテスト勉強からの逃避で更新が進むかも?(笑)
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