どうしてこうなった!!
平凡な人生を過ごしていたと思う。
高校生最後の年、就職試験を間近に控え、未来への期待と不安がせめぎあう年に、俺は18年間の生涯に幕を下ろした。
簡単にいってしまうなら交通事故。俺がよそ見をしながら道路に出たのか、あっちの車になんらかの落ち度があったのか、今になってはもうどうでもいい。
ただひとつ確実に言えることは、俺が死んだと言うこと。
目前に車が迫り、衝突、俺は一瞬で意識を刈り取られた。それからどれほどの時間がたったのかはわからないが、意識が戻った。が、目が見えずここがどこかわからないし、手足も動かない。規則的に聞こえる何かの音がなぜか俺に安心感を与えてくれる。時折、俺全体を撫でられているような感覚がすることもあった。
あの世だとかは信じていなかったのだが、もしかしたらここがそうなのかもしれない。
ここがいわゆるあの世だとか天国だとか言われる場所ではないことに気づいたのは、この空間から押し出されたときだった。
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
「元気な男の子ですよ!」
こうして、俺は前世の記憶を持ったままに『転生』してしまったのだ。
衝撃の誕生から数ヶ月。俺はようやく母と共に退院することになった。
どうでもいい話かもしれないが、両親はものすっごく美形だ。身内の贔屓目とかでなく、10人中9人は美形だと答えるだろう。母はサラサラの黒髪で、肌は白く、栗色の目が長いまつげに縁取られている。父は茶髪でふわふわの猫っ毛、目の色は赤っぽい茶色だ。二人ともすごくお似合いの夫婦だと思う。そして俺はというと、黒髪で目は赤っぽい茶色だ。今はまだ赤ん坊だが、将来は有望そうだし今から楽しみだ。
今の話でわかるように、ここでは髪の色や目の色が結構バラバラだ。でも日本語を話してるし、未来の日本なのかパラレルワールドなのか。今のところ判断できないが、とにかく、前世の日本ではなさそうだ。
言葉の壁がないだけで大分心が軽くなった、今回はなんか面白い人生にしたいなあなんて考えていた。
そして車に乗って家に帰る途中、ふと窓の外をみると、ポッポが飛んでいた。
「(うわー生ポッポだ、初めて見た!)」
ん? ポッポ? ……!?
そして周りをみると、草むら顔を覗かせるオタチやコラッタたち……
生まれ変わったらポケモンの世界だったでござるの巻
そりゃあ面白い人生にしたいとか思ったけどこりゃないわ! まさかの展開すぎてもうなにがなんだかなんだが……?
そして俺は、熱を出して3日間寝込むことになったのだった。
お父さんお母さん心配してくれてありがとう。でも俺はまだ現実を受け入れられそうにありません……。
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