PUNCH!
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俺と修験者のその後


 小さな冒険をしたあの日以来、何だかんだでマツバとはうまくやっている。
 あのとき8歳だった俺たちは、12歳になった。

 あの時、マツバはゲンガーを結局ボールに入れなかった。どうしたのかと思っていたら、捕まえるだけでゲットしろとは言われていない。これはポケモンに慣れるための修行であり試験だった。ということらしい。よくわからないがマツバの師匠なりの優しさなのかもしれない。

 それによくよく考えれば10歳になるまで自分のポケモンは持ってはいけないと法律で決まっていたのだった。度忘れぐらい誰にだってあるよな!



 マツバは修行が忙しいのか、同年代の話し相手がいないらしいので、あれ以来俺は暇なときにちょくちょくマツバの家にお邪魔している。
 マツバの家はそりゃあもうでかくて由緒ある家って感じで、俺なんかが出入りしていいものかとも思ったのだが、嬉しそうに俺を出迎えるマツバを見たら何となく言い出せなくて、結局そのままだ。今まで特に問題もなく、マツバの両親や家政婦さんとも良好な関係を築けているはずだ。

 家に遊びにいくといっても、マツバは元々インドア派なので縁側に座って羊羮やら煎餅やらを食べながらのんびりとしている。もちろんあの時のゲンガーとも仲良くやっている。

 それに俺の見た目は12歳児でも、中身はもう三十路なのでバタバタと走り回れるような元気はないのだ。主に精神的な意味で。
 そんな俺と一緒にいても楽しくないんじゃないかなんて最初は考えていたが、こいつは元々結構早熟で、俺から言わせればジジ臭い。常におっとりのんびりしていて滅多に声をあらげないし、常にボーッとしているのだが、マツバがやると妙に様になるのがムカつく。
 まだ幼い顔立ちではあるが、整った目鼻立ちとキラキラ光る金髪。将来有望、イケメンは死すべき。なんつって。この世界では金髪はイケメンだと言う法則でもあるのだろうかと、もう記憶も曖昧になりつつあるゲームの中のナギサジムリーダーを思い浮かべる。



 ちなみに俺だってただただ遊んでいた訳じゃない。あのあとすぐにこの世界の学校である、ポケモントレーナーズスクールに入学したのだが、自分で言うのも悲しいが、ポケモン廃人であった俺に死角はなかった。それにどんなに年月がたっていても、足し算掛け算なんか忘れようがない。普通なら小等部にかよう年齢ではあるが飛び級して中等部に入学。その中等部も1年で終了してしまった。

 まあそりゃあ最初は天才児だとか神童だとかいわれたりもしたのだが、いわゆるチート状態なのでなんとも言えない心境だ。今はもうそんなことを気にするやつはいなくなり、俺は寂しい高等部で年齢的に浮きながらもそれなりに充実した日々を送っているのだ。
 とは言っても俺ももう12歳。本来なら10歳から旅に出て良いことになっているので高等部を卒業したら旅にでも出ようかと考えている。まだマツバには言っていない。なんだか最近修行が忙しいらしく、一緒に話しているときも疲れた表情でどこか上の空。行かない方が良いかとも思ったが、行かないとわざわざ迎えに来るので、どうせなら一緒に居ながら休ませてやることにしたのだ。
 それにそれほど急ぎの用事でもないし、そのうち言おう。


 そんなことを考えていた時期が、俺にもありました。

 季節はすでに冬の終わり頃、いまだに俺はマツバに旅に出ることを言い出せないでいた。
 さすがにそろそろ言わないと、そうおもい眠たそうにうとうとと船をこいでいるマツバに声をかけた。


「なあマツバ起きろ。ちょっと大事っぽい話があるんだけど」




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今回はほのぼの回。というより前フリっぽいかも。長くなりそうなので区切りいいとこで切りました。


私は必要性が薄いところはザクザク削りますので、ホイホイ年を取ります。

その空白の間に何があったかは想像にお任せ

何かネタが浮かんだら番外編として書くかも



てかこれだけ打って会話文ひとつとかおま……

うちの主人公君はよくしゃべります。心の中でだけど


そういえば文中にイケメン死ね的なこと言ってますけど、別に主人公君不細工じゃないです。どちらかと言うと小綺麗なタイプ。ただマツバと並ぶと霞む。マツバがキラキラしてるのが悪い。


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