PUNCH!
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推薦状と旅の始まり


 今日は待ちに待った卒業式!……べつにそんなに待ってなかったけどな。
 とにかく、高等部の卒業式の日だ。ちなみに、ゴースの努力値はすでに振り終わり、レベルは23。このぐらいレベルがあればバッチ2・3個取れるんじゃね? と、思うわけです。まあ毎回初心者用ポケモンは5レベルからのスタートだしな。15レベルからのスタートだから、一つ目のジムぐらいなら余裕で行けたかもな。

 まあ、そんなことはどうでもよくて、重要なのは今日この卒業式が終わったら、マツバと合流していよいよ旅のスタートってこと。
 この前から俺はポケモンセンターで生活してるわけだが、おれが思っていたよりポケセンは快適だった。ご飯は安いし、部屋は奇麗だし、宿泊費はタダだし。


 卒業式はつつがなく進み、来賓の客や校長の話を右から左に流しつつ、これからの旅について考えていると、周りが立ったので今から退場だろう。

 退場し終えると、今まで担任だった先生が話しかけてきた。
「カズヤ、卒業おめでとう。」
「先生。いままでありがとうございました」
「お前はこれから旅に出るらしいな。」
「はい」

 まずは卒業祝いの言葉から、話題は俺のこれからについてのようだ。
 先生は、何かを思案するように手をあごにあてるしぐさをした。

「おまえ、大学に行く気はないのか?」
「大学……ですか」

 考えてなかったわけじゃない。でも今の年齢で大学に通っても浮くことは目に見えているし、これから旅に出るのだからと、自分をごまかしあきらめていたのだ。

「おまえの気持ち次第だが、旅が終わってから大学に行く気があるのなら、俺に連絡をくれ」
「はあ……何でですか?」

 先生は今までよりも声をひそめて口を開いた。

「実はおまえにタマムシ大学から推薦状が来ているんだ」
「えぇっ!? タマムシ大学!?」

 タマムシ大学とはその名の通りタマムシにある大学で、どんな人も一度は聞いたことのある超名門校だ。あのオーキド博士を始め、ナナカマド博士もタマムシ大学出身で、将来博士になりたい少年少女たちは、ここに入りたいがために、日夜勉強に励んでいると言う。もちろん倍率も高く、偏差値も高い。一浪二浪なんて当たり前で、そこを卒業できれば将来安泰だと言われているのだ。そんなところから推薦状が届くなんて俺も有名になったものだ。なんつって。
 今のは冗談として、タマムシ大学も人員不足なのだろうか? 大学側から推薦状を出すなんて話、聞いたことないぞ……。

「あの、タマムシ大学だ。すごいことなんだぞ! ほら、お前卒業研究でポケモンの性格と個性についてやってたろ。その発表の時、たまたまオーキド博士がお忍びで来ていて、お前に興味を持ったらしい。」

 俺は卒業研究で、性格による能力の変化と個性による能力の比較を題材にした論文を書いていたのだ。
 本当は努力値だの個体値だの書いてしまっても良いんだが、さすがに受け入れられないだろう。たかが高校生、しかも飛び級で年齢は12。絶対に信じてもらえないだろうしな。
 それにその論文だって、大分ぼかして書いたからな。臆病そうなポケモンは他のポケモンよりもすばやく動いているように見えたとか、正直やる気あるのかと言いたくなるような論文だった気がするんだけど。


「とにかく、旅が終わり次第すぐに連絡しろよ。オーキド博士はいつでも構わないって言ってたが、それにかまけてふらふらと遊び歩くんじゃねーぞ!」

 そういうと先生は、俺の方をポンと叩いて他の生徒のところへと向かった。



 タマムシ大学からの推薦状、か。正直に言うと今すぐ行ってもいいぐらいに魅力的な話だ。まあ待つって言ってくれるなら待っていただこう。





 卒業式のあと、旅に必要のない卒業証書などを全てポケモンセンターのパソコンに預けた。道具預かりサービスを考えた人は天才だと思うんだ。もちろんマサキもすごいんだけど。

 そして身軽になった俺はマツバの家に向かった。
 大きな門の前には馴染みの深い金髪が見えた。


「よう、久しぶり?」

 俺が声をかけるとこちらに気づいたようで、いつもの気の抜けたような笑顔でこちらに向かってきた。

「そうだね。卒業おめでとうカズヤ」
「サンキュ。もう準備はできてるんだよな?」
「もちろん。凄く楽しみだよ」



 いよいよ旅に出られるという実感がわいてきて、気分が高揚していくのがわかった。マツバもいつも眠そうな目が心なしか輝いているように見える。


「まずはコガネシティ!」
「あぁ、早速いこうぜ!」

 俺の中身は立派な大人だけど、今ぐらい童心にかえっても許されるよな! マジですげえワクワクする!




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移転後初更新!

これで幼少期編はおわりで、次から新章突入!

次からはしばらくほのぼの仲間集めルートですね……


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