白金、黒金、如何かね?

木々がうねる。
季節は冬という面から見るとこの気温はまだ暖かいものかもしれないが、この絶えぬ強風によって「暖かい」という言葉は浮かばなかった。

そんな中、次元と五右ェ門は風に煽られながら10歩程の距離をおいて向き合っていた。

「本当にやるのか。」

「無論。」

「お前が死んだらどうする?」

「死人に思考などない。貴様の好きにするがいい。」

「そうかい…。」

次元は右手を後ろに回した。
五右ェ門は斬鉄剣に手を添える。

「では次元、俺からも問おう。」

「なんだ。」

「お主が死んだら…どうする?」

砂ぼこりが舞う。
次元はうっすらと笑みを見せた。

「そん時は、俺はお前に……。」

互いの手が互いの武器に触れた。


「……という夢を見たのだ。」

「…それはつまりもう一度俺とお前が決闘をするべきだと言いたいのか?」

「何故わかる。」

「お前さんはどうにかして、もう少しそのとんちんかんな頭を中和させてくれないか。」

俺はこいつが苦手だ。
寝室から出てきたと思ったら急に夢の話をし始めた。
とりあえず聞いてみるも、その内容はあまりにも非現実的すぎて開いた口が塞がらない。
できるなら俺はお前とは二度と戦いたかねぇし、そんな命知らずなことするくらいなら別の道を選ぶ。

次元はため息をついて、内ポケットからタバコを取り出した。

「ではお主が何を言おうとしていたのか解らぬではないか。」

「んなこと言われてもよ、俺にだってわかんねぇもん。」

夢ん中の俺とやらに聞いてくれ。

「現実にやってみると解るやもしれぬぞ?」

「よしてくれよ…。」

次元が紫煙を燻らせると、五右ェ門は近付いて次元の前に座った。
真っ直ぐ次元を見ている。

参ったな……。

どう見ても五右ェ門は次元の返事を催促している。
次元の返事は決まっていたが五右ェ門はそれを受け入れないだろう。

次元が困り果てて頭を掻いていると、五右ェ門が息を吹き出した。

「ふっ…ははははっ!」

「…っ?」

五右ェ門は突然大笑いし、何が起こったのかわからない次元は目を丸くするだけだった。
すると五右ェ門は笑顔のまま次元を見た。

「冗談だ、もう某はお主と戦うつもりはない。まぁお主がそう請うなら受けて立つがな。」

「………。」

なんだそりゃ…。
次元は心の中で肩をがっくりと落とし、真剣に悩んでいた先程までの自分を慰めた。
それとは裏腹に五右ェ門は数秒前の豪快な笑みではなく、微笑むような表情で次元の目を見る。

「お主はいい目をしている。初見時もお主は某を殺さぬよう急所を外して引き金を引いていただろう。あの目は一般人のものではあるまい。」

五右ェ門は腕を組んで後ろに凭れた。

いい面して笑いやがって。

次元は「ありがとよ」とだけ言ってまた煙を吐き出した。


俺はこいつが苦手だった。
それは今でもあんま変わんねぇが、前より少しマシになったかな。


「次元、そのタバコとやらは旨いのか?」

「ん?あぁ、旨いっちゃ旨いな。なら、一本。」

「では頂戴する。」

次元は五右ェ門がくわえたタバコに火をつけてあげた。
煙管を吸うこともあってどこも不自然無く五右ェ門は紫煙を吐き出した。

「……どうだ?」

「煙管と変わらぬ。」

「だろうな。」

何より、こうやって同じ空間でタバコ吹かすことは前の俺とお前なら考えられなかっただろうよ。

「ではお主には何時か煙管を貸してやろう。」

「そいつはいい。一度吸ってみたかったんだ。」

「そうだろう?」

目の前であの固い顔が緩む。

ま、これが見れただけでも俺にとっちゃなかなかの進歩かね。

次元は紫煙を吐き出して小さく微笑んだ。


-fin-

◯1stの次+五なんですが…
よくわからん話でしたね(汗)
1stの五ェ門はかなり
殺意に満ちてるイメージがありますが
天然だったらいいな、という。
ちなみに夢の中の次元が言った事は
「ルパンを頼む」みたいなことを
言ってるということで(^^)
題名は、
白金=銀=五右ェ門
黒金=鉄=次元
というかんじです*

Thank you for reading!!


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