当たらない天気予報

「ライフル、マシンガン、グレネードランチャーは?」

「いける、銃器の知識は不足ねぇ。」

「じゃあヘリ、トラック、その他諸々の乗り物は?」

「ヘリはかじったくらいだ、車は大半できる。」

「ふーん…んじゃバーボンとスコッチどっちがすき?」

「バーボン…って関係ねぇだろ。」

「なぁ次元、何でさっきからこっち見てくんないのさ。」

「俺は猿顔が嫌いなんだ。」

今から約30分前からずっとこのやり取りを続けている。
ルパンが質問しては次元が答え、茶化してはスルーされる。

ルパンは次元の答えをノートに書きまとめると、ペンを鼻の下に挟んで恨めしく次元を睨んだ。

「なぁ次元。俺たちは仲間なんだぜ?」

「誰がそう決めた。」

「俺。」

「なら残念だがそいつは嘘だ。」

「何でだよ!」

ソファーで足を組んで座り、次元はマグナムを取り出した。
シリンダーの残弾を確かめると、もう一度マグナムを戻す。

「今はここにいるが、じきに俺は消える。」

おもむろに隣に置いてあった新聞を手にとって読み始める。
新聞には芸能人の結婚疑惑騒動や政治のなんとやらが記されていた。
その下には地方の天気予報が載ってあるがそこには午後から雨のマーク、だが今の空は晴れ。天気予報士は明日のバラエティーニュースで謝らなければならないだろう。

「ま、そんなこと言ってお前はきっと離れねぇよ。」

ルパンが余裕の笑みで言うと次元はピクリと片眉を上げた。
それでも新聞からは目を離さずルパンの方を見なかった。ルパンの方を見れば何かが負けると、次元の中で思っていたからだ。

するとルパンは立ち上がって次元の前に立った。

「お前に会ったその瞬間から俺はお前に惚れた。逆にお前がいなくちゃ困るんだよ。」

「何言っていやがる…。」

「本気だぜ。」

次元は帽子の下からルパンを睨む。
顔を覗こうとすると目の前の新聞のページが急に破れて指が出た。

目を見開いてそれを睨むと、指はさっと引っ込んだ。
そのすぐ後、その穴から丸い目がこちらを覗く。

「ばぁ♪」

「……。」

バシッ

「いでっ!」

次元は黙ったまま新聞を折り畳んでルパンの顔面を音を立てて叩いた。

「猿顔が嫌いって言うから目ン玉だけにしたのに。」

「お前は奇跡的なバカだな。」

次元はすくっと立ち上がり、リビングを出ようとした。
ルパンは新聞を広げて、胸ポケットからペンを取り出し何やら地面の上で書き始めた。

「……おい。」

すると次元はリビングの扉に手をかけ、一度止まって振り返りルパンに声をかけた。

「なーに?」

ルパンが地面に胡座をかいて次元を見ると、次元は自分の帽子に手をかけた。

パサッと乾いた音を立てて次元の髪は揺れ、普段は見えない目がルパンを捉えた。

「お前が俺を裏切らねぇなら、俺は考え方を変える。それだけは約束してやるよ、…ルパン。」

それだけ言うと次元は少し口角を上げて帽子を被り直した。

パタンと扉が閉まると、ルパンは優しく微笑んだ。

「俺は約束守る男よ、次元ちゃん。」

新聞をソファーに置くと、ルパンは窓から晴れ渡る空を見上げる。

新聞の天気予報欄には雨のマークが、ペンで太陽のマークに書き直されていた。


-fin-

◯ファーコンをイメージした
ルパンと次元です。
あの話はルパンの次元の出会いは
本当の話だったら
いいのにな(*´∀`*)
「いつかその帽子を脱がせてみてぇんだよ」
というルパンのセリフが
すごくかっこいい…

Thank you for reading!!


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