trick or treat?
コンコン
「だぁれ?」
不二子はゆっくりドアを開けながらノックをした人物を確かめた。
「よぅ不二子。悪いが匿っちゃくれねぇか?」
ドアの外にいたのは次元だった。だが不二子は相手が次元だと分かっても、ドアをそれ以上は開けなかった。
「何から匿ってほしいの?」
「決まってるだろ、ルパンのコスプレからだよ。」
すると不二子は少し驚いた目で次元を見て、もう少しドアを開けて服装を確かめた。次元の服はいつもと同じスーツ姿で、間違っても今日のハロウィンを楽しむ格好ではなかった。
「それならいいわよ。どうぞ?」
不二子はやっと安心したように次元を部屋に招き入れた。次元は部屋に入ると、不二子の可笑しな服装を見て驚愕した。
「おい不二子。何だその格好は?」
不二子は足の爪先まである長く赤い無地のパーカーを身に纏っていた。いつも露出の多い服を着ている不二子が、こんな全身を隠すような服を着るなんて今までになかった故、次元は目を丸くしていた。
すると不二子は少し恥ずかしがりながら、次元を睨む。
「私だって本当は今日の仮装パーティに行きたかったけど、去年はルパンが飛び付いてきて逃げるのに必死だったのよ。だから今年はこの部屋に着た人とだけ楽しもうと思って…。」
「ふーん…。」
次元はその珍しい格好の不二子をまじまじと見ていた。不二子は少し恥ずかしくなり、次元に背を向けた。
「んもぅっ、何よ!そんなにじろじろ見ないでちょうだい!」
微かに見える不二子の頬が朱に染まっている。
次元は悪そうな笑みを浮かべ、不二子を後ろから抱きすくめた。
「っ!な、何よ…。」
先ほどよりも顔を赤く染めながら不二子は次元の睨もうと振り向いた。その時の次元の顔はまるで悪戯でも思い付いた子供ような顔だった。
「いや、お前さんが珍しく可愛いからな、trickしてやろうかと。」
右手で不二子のフードをゆっくり外し、その手で栗色の髪を唇に寄せた。
「あなたはハロウィンに参加したくなくて、ここに来たんじゃないの?」
「そのつもりだったんだが前言撤回だ。男はみんな狼って言葉をしらねぇのか?赤ずきんちゃん。」
クスクスと笑いながら次元は不二子にキスをしようとしたが、不二子の右手によってそれは阻止された。
「聞いたことないわ、それにあたしは、」
ちゅ
「!?」
左手で次元の右頬を捕らえて唇をつけ、可愛らしいリップ音を立てて外した。
「赤いずきんを被った悪魔よ。」
不二子は一度次元の腕をほどき、赤いパーカーを脱ぎ捨てる。するとその下はいつも以上に露出度の高い服…というか、水着に近いものを着ていた。
黒と紫がベースでレースなどもついており、片方の足にはリボンのガーターまでつけていた。
「こりゃおったまげた。カボチャの野郎もまた可愛い小悪魔をよこしたもんだな。」
次元が目を丸くして不二子の頭の天辺から爪先まで目を移動させた。
「ふふ、赤いずきんでも被らなきゃ女として見てもらえないんだもの。」
脱ぎ捨てたのは自分であるのに、不二子は床に置いたパーカーを拾い、紅潮しながら少し体を揺らした。
「んな事言ってっと他の狼に喰われんぞ。」
そのパーカーの上から次元は不二子の腹部から腰へ手を回す。
「あら、あたしを嘗めないでちょうだい。お見舞いのワインボトルにはブローニングが入ってるのよ。」
誘惑するような、挑発しているような、照れ隠しのような目で不二子は次元を見る。
次元は一度不二子から手を離し、両手を軽く上げて降参のポーズをとった。
「おー怖ぇ。嘗めちゃ逆に喰われちまうな。じゃあ、そろそろ狼のお食事タイムといきますか。」
狼は不二子から優しくパーカーを奪う。
「食べ散らかさないでよ?」
不二子はパーカーが無くなり、また顔を赤くして少しうつ向き気味になる。
「狼は綺麗好きなんだよ。」
パーカーを不二子の肩にかけると、不二子の鎖骨に唇を近づける。
「ふふ、嘘つき。」
不二子は狼の黒いジャケットをゆっくり脱がせて、床に落とした。
-fin-
◯ハロウィンが近いという事で
ハロウィンネタです(^O^)
照れる可愛い不二子ちゃんが
書きたかった……(´`)
不二子ちゃんの愛用の銃は
ブローニングM1910だったような?
1stで次元が不二子ちゃんを
「赤ずきんちゃん」と呼ぶシーンが
かっこよかったです(^ω^)
Thank you for reading!!
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