Silent Night!!

※マリー(幼女、病弱)というオリキャラが少しだけ出てきます!苦手な方はご注意を!※








「本気か?ルパン…。」

「当たり前でしょーよ。なんてったって今日はクリスマスイブだぜ?」

「お主らしい作戦ではあるが、無謀すぎるのではないか?」

「無謀な事をやり遂げるのがルパン三世じゃないのー♪」

「……。」

「やれやれ…。」

アジトで3人は何やら今晩の作戦会議を開いていた。
ルパンはやる気充分だったが、あとの2人はなかなか気の進まぬ面立ちで、ルパンは口を尖らして2人を見た。

「何でそんな乗り気じゃないのさー。」

「当たり前ぇだろ。こんなばかでかいツリーを盗んで何になるってんだ。」

「盗んだ後どうこうじゃなくって盗めるかどうかを楽しまなくちゃだろ?」

「お主の考えることは時に理解できぬ。拙者はおりるぞ。」

五右ェ門がため息をついて立ち上がると、ルパンは慌てて五右ェ門の後ろに立ち、肩を押さえて座るよう促した。

「待て待て待て!分かったから!本心を言うってーっ。」

五右ェ門は眉間にシワを寄せたまま渋々椅子に座り直した。
すると次元が帽子の下からルパンを覗く。

「本心?どういう意味だ。」


「今回の狙いがツリーっていうのはただの肩書きで、本当は別のことが狙いなのさ。」

「別のこと?」

「あぁ。敢えて言うなら、ある子のハートを…かな?」

「?」

2人が腑に落ちない表情になっているのを余所に、ルパンはガタッと立ち上がって腕を上げて伸ばした。

「さーて、今年のクリスマスは賑やかになるぜー♪」

鼻歌を歌いながらルパンはリビングを後にした。


雪の降る街道、巨大クリスマスツリーは空に白く化粧されて、その姿には警察官たちも魅せられていた。
だが銭形はツリーよりも腕時計をチラチラと見ながら、意味なく辺りを彷徨いていた。
そしてポケットから折り畳まれた紙を取り出し、おもむろにそれを広げて読み返す。

『今夜9時、
皆様が楽しみにしておられる
クリスマスツリーは
このルパン三世が頂戴します。
良いクリスマスを☆

ルパン三世』

「こんなでかでかと挑戦状を出すなんて、奴は何を考えておるのだ。」

それをポケットにしまうと、銭形はもう一度時計を見た。
あと数分で9時になる。

「今夜こそお前の年貢の納め時だルパン、覚悟しろっ。」

すると1人の警官が走って銭形の前に現れた。

「警部っ。先ほど怪しい人物が車に乗ってこの周辺を彷徨いていたという情報が入りました!」

「何っ?!それでどんな容姿なんだっ。」

銭形が警官に詰め寄って問いただすと、警官はしどろもどろに口を動かした。

「それが…何やらサンタクロースの格好をした者たちだとか…。」

「サ、サンタクロース?」

時計の針が9時を差した。すると辺りは赤い服を着た人間たちが、わらわらと外へ出てきた。

「なんだこれはっ?!」

「警部ー!!」

銭形と警官がこの状況に驚愕していると、遠くから慌てて他の警官が走り寄ってきた。

「次はなんだっ!!」

「今夜はクリスマスイブなので、この街ではサンタクロースの格好をして楽しむというイベントがあるそうですっ。」

「何だそれは…っ?何故もっと早く言わんのだーぁ!!」

イベントを伝えにきた警官の肩を持ってガクガクと前後に揺さぶると、もう1人の警官がそれを慌てて止めた。

「ここでは、街の人間以外には秘密にするよう言われているらしくて…。」

「むむぅ〜。よしっ、怪しい4人組は全員調べろ!長い髭を持つ者、刀ほどの棒やステッキを持つ者、女で容姿が良い者、猿顔で怪しい者!こんな奴等は特にだー!!」

銭形は叫びながらサンタクロースの輪の中に潜り込んだ。


「看護師さん、何だか楽しそうな声が聞こえる。」

白い病室の中、マリーは点滴を見にきた看護師に声をかける。

「そうね。多分またサンタクロースがたくさん街におりてきたんだと思うわ。」

「私のところにも、サンタさん来ないかな…。」

マリーは生まれつき病弱で冬になると体を壊してしまい、毎年クリスマスは病院で過ごしていた。
その為にサンタクロースやクリスマスツリーは絵本の中以外では見たことがなかったのだ。

マリーが呟くと、看護師は寂しそうに微笑んでマリーの頭を撫でた。

「きっと来るわ。だから今日はもう寝ましょうね?」

「うん…。」

看護師が明かりを消すと、マリーは窓に目を移した。
部屋の中は真っ暗だったが、窓からは街灯のおかげで雪がしんしんと降っているのが分かった。

「サンタさん…。」

マリーが布団に潜り込もうとすると、一瞬何かの影が窓に現れた。
マリーはそれに気付き、ゆっくり窓に近付く。

カラカラ…と窓を開けると、そこには赤いコートを身に纏った男がいた。

窓のサイズはそれほど大きいものではない上にここは6階。
マリーは言葉を失って目をパチパチさせた。

「こんばんは、可愛子ちゃん。」

赤いサンタクロース、ルパンは軽やかに病室へ入り、退く少女に近付いた。
少女が怯えているのに気付くと、ルパンはその場に座って白い布の袋を取り出した。

「おじさんはサンタクロース。」

「サンタさん…?だからこんな所まで登ってこれたの?」

ルパンは頷く。

「君にプレゼントを届けに来たんだよ。」

ルパンは白い袋から手のひらサイズのプレゼントの箱を取り出して少女に見せた。

「おじさんがここからいなくなってから開けてね。」

マリーは小さく、だが何度も頷いた。

「それじゃあ、メリークリスマス。」

マリーに投げキッスをすると、ルパンはサンタの帽子をマリーに被せ、窓から飛び降りた。
マリーは急いで窓を覗き込んだが、そこにはもう誰もいなかった。

1人きりの病室でマリーはプレゼントの箱を開ける。
すると中には、クマのぬいぐるみとクリスマスツリーの置物が入っていた。

「これがクリスマスツリー…?」

よく見るとツリーの下にはスイッチがあり、台の上に置くとそれがONになる仕掛けらしい。
マリーはそれをベッドの隣の机に置いた。
すると小さなクリスマスツリーは光り、暗い病室を明るく照らした。

「きれい……。」

マリーはクマのぬいぐるみを抱きしめ、目を輝かせながら窓を眺めた。

「ありがとう、サンタさん。」

絶えず降り続ける雪は優しく地面を染めていった。



「ただいまーっ。」

「おう、お帰り。どうだった?嬢ちゃんの反応は。」

「んー、嬉しそうだったよー?大成功だぜっ。」

「それは良かった。まぁ拙者たちもなかなか楽しかったぞ。」

「え?なんでなんで。」

「とっつぁんがサンタの格好してる人間を手当たり次第探っていってんだよ。血眼のとっつぁん、同情ものだぜありゃ。」

「拙者たちが警官に変装しているとも知らずにな。」

次元は、はははっ、と声を上げ、五右ェ門はクスクスと肩を揺らして笑った。

「そっかそっか♪まぁ良かったじゃねーのー!」

ルパンは窓を見上げた。

「こんな日くらい、世界中の子どもたちが幸せになればいいのにな。」

街灯とイルミネーションが夜空を照らす。


MerryChristmas...


-fin-

◯ファミリーのお話(^O^)
義賊じゃないのがルパンの
いいところなので
この女の子はルパンの
独断の行為という設定です。
この女の子はルパンが
道を歩いていたら偶然見つけた子です。
そしてクリスマスツリーを
盗むっていうのはそのものじゃなく、
デザインというかそういうのを
盗むという予告で、
病院には誰も来ないよう
敢えて挑戦状を出した。
なんかもう……
意味わかんなくてすみません!!(土下座)
あとニューヨークでは
本当にこういうお祭りが
あるらしいです(^^)*
素敵なお祭りだ…(*´∀`*)

Thank you for reading!!


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