カーテンの向こう
今回のお宝は、世界に1つしか無いと言われている揚羽蝶のブローチ。
ルビーとダイヤでできたそれは、蝶と宝石のマニアから相当の額がつけられる代物だった。
いつものように難なくルパン一味はややこしい罠や頑丈な警備を抜け、目当ての品が置いてある建物へと侵入していく。
だが建物内はかなり複雑な構造であったので、二手に分かれて行動することにした。
ルパンと五右ェ門はブローチの場所を、次元と不二子はブローチのある部屋の警備を解く場所を目指した。
ギィ…
「さて、この部屋か。」
「問題のスイッチを探しましょう。」
次元と不二子はルパンたちより早く操縦室を見つけ、部屋の探索を始めた。
天井から見ると真四角であろうこの部屋は、操縦室という割にはあまり細かな構造はしておらず、そのせいで逆にタンスなどの物が多いため少しやりにくかった。
だが不二子は扉から少し離れた場にある茶色いタンスの上の花瓶を退けると、目的のスイッチを見つけた。
「次元、これじゃない?」
「お、そうだ。下の赤いボタンを押してくれ。」
不二子は指示されたようにボタンを押す。
その後、すぐに仕業がバレないように丁寧に指紋も拭き取る。
「これでブローチはもらったな。」
「じゃあもう出ていっていいのね?」
不二子が扉に手をかけた時、2人は同時に眉間に皺を寄せた。
何者かがこちらに近付いてくる足音が聞こえる。
「本当に見たのか?」
「いや、分からんが防犯カメラが何かを察知したらしいんだ。」
「(まずい…っ!)」
不二子はすぐに扉から離れ、次元を見やった。
足音は止まることなく近付いてくる。
そしてその足音は2人のいる扉の前で止まった。
すると次元は不二子の手を引いた。
ガチャガチャ
ギィ…
「んー?おかしいなぁ。」
「だから言っただろ。最近カメラの調子がおかしいんじゃねぇか?」
2人の警備員はずかずかと部屋に入る。
その時、若干窓際のカーテンが揺れた事に気付きもせず。
「(ちょっと…あんまり寄らないでよ。)」
「(仕方ねーだろ。今は我慢しとけ。)」
次元と不二子は咄嗟に窓際の大きなクローゼットと窓との隙間に隠れていた。
部屋の電気は別の管理室で操縦されているために、恐らく目で見つかることは無さそうだったが、大人2人が隠れるには狭すぎる場所。
不二子に覆い被さるように次元は身を隠した。
「(まだなの?)」
「(用心深い奴らだな…。)」
「どうせあれだよ、カメラの近くの埃とかを見違えたんだろうよ。」
「そうか…まぁ、一応調べとくか。」
「(っ?!)」
ただでさえ息苦しいというのに、これ以上この体勢でいることは困難だ。
不二子は今は身を出して逆に倒した方が良いと次元に提案しようとした。
だが次元はいつの間にか不二子の首元に顔を埋めている。
「(ちょっと次元…何してるのよ。)」
「(ん?いやぁ…、)」
すると次元は不二子の首筋に突然舌を這わせた。
「(ッ!!)」
急な感覚に不二子はビクッと反応した。
そんな自分に羞恥し、キッと次元を睨む。
「(何考えてるのよ!)」
次元はニヤニヤと笑いながら不二子を見上げる。
「(だってよ、こういう空気って逆に燃えねぇ?)」
「(なっ…!)」
不二子が呆れを通り越して奇怪な目で次元を見ると、次元は音を立てずに耳にキスをした。
「(だからちょっとだけ楽しもうぜ。)」
次元は不二子の耳朶をあまがみすると、軟骨をゆっくり舌でなぞった。
不二子は危うく声が出そうになるのを何とか堪え、右手はタンスと自分の体に挟まれて動かない為、まだ若干自由のきく左手で次元の行動を制止させようとした。
「(だめっだから…次元…っ。)」
だが次元は止めることなく唇を肌に触れさせたままもう一度首へ移動させる。
そしてまた舌を不二子の肌の上で転がし、右手で不二子の耳を弄んだ。
ゴツゴツした指が不二子の耳に触れると、優しく耳の裏を撫でて親指と人差し指で耳を挟んで擦る。
不二子は紅潮して左手に力が入らなくなっていた。
普段なら何時ものことの故ここまで感じることもないだろうが、今回は身を隠しているという条件があるため、不二子は緊張も交えてしまい、感度が過剰になっていたのだ。
「(やっ…、じげ…!)」
「(素直に感じろよ。バレなきゃいいんだ。)」
「(バレるかも、しれないから言ってるの…!)」
「(仕方ねぇな。)」
ため息をつくと、次元は不二子の口を優しく押さえた。
「(んぅ…っ。)」
「(これで声は出ねぇだろ?)」
また悪そうに微笑むと、次元は不二子を弄び始めた。
「うーん、異常はないな。」
「じゃあ行くか。明日は業者呼ばなきゃな〜。」
バタン
2人の警備員が出ていった。
次元は気配が遠退くのを感じると、不二子の口を押さえていた手を離した。
「よくもまぁあそこまで声を抑えれるもんだな。」
少し潤んだ瞳で次元を恨めしそうに見上げ、不二子は次元のネクタイを軽く引っ張った。
「あなたこそもう少し我慢って言葉を学んだら?」
「ハイハイ。悪かったですよっと。」
全く悪びれる様子も見せず、次元は不二子の頬を撫でた。
「お前さんが可愛い反応するから止まらなくなったんだ。」
「…っ!…そんなこと言っても、許してあげないわよっ。」
不二子はプイと顔を背ける。
次元はククッと喉を鳴らし、不二子の唇をなぞった。
「でも、」
不二子はネクタイをぐいっと引っ張って次元の唇を自分のと重ねた。
目を丸くする次元を見て、不二子は満足そうに微笑む。
「今夜が素敵な夜になったら…許してあげる。」
月に照らされる不二子は艶やかに次元を見つめる。
「お前は本当に嫌なやつだよ。」
こんな簡単に俺を落としてくれるんだもんな。
次元は目を細めて不二子を見る。
「それで?どうするの?」
腕を次元の首の後ろに回し、挑発するよう不二子は次元の返事を催促した。
「んなもん勿論…、」
次元はゆっくり顔を近づけた。
「許してもらうまで相手してやるよ。」
カーテンから見える2人のシルエットが、月に照らされながらゆっくり重なった。
-fin-
◯リクエスト第7弾!
「大人な甘めの次×不」です!(゚∀゚)
カーテン越しっていうのが
魅力的だなぁと思いまして…*
何だかSな次元ですが
いつもこんな感じですかね(笑)
リクエストありがとうございました!
Thank you for reading!!
[back][next]