ポッキーゲーム

─雪の降る夜─

次元は両手をポケットの中に入れ、肩をすくめたままアジトへ戻った。

「あー寒ぃ。なんで雪なんか降ってくるかな。」

タバコに火をつけてくわえると、次元はジャケットに乗っている雪を落としながらリビングへ入る。
そこにはルパンと五右ェ門がおり、コーヒーを飲んでいた。

「あら、次元ちゃんお帰りー。」

「そんな格好で寒かろう。暫し待て、今コーヒーを入れてやろう。」

お前の方が寒そうだがな…。

次元は心中で独り言を唱えながら「さんきゅ」と言ってソファーに腰掛けた。

「そういやルパン、今回のビルのシステムは?」

次元が帽子を一度取って、帽子に乗っていた雪を落とす。

「あぁ、それなら不二子ちゃんが持ってるよー♪今部屋にいるからもらってきな。」

ルパンはコーヒーを一口飲み、不二子の部屋を親指で差した。

「んじゃあ、もらってくっか。」

次元は帽子を被り直して立ち上がると、リビングを出ていった。

コンコン

小さなノックが聞こえた。

「だぁれ?」

不二子がドアに向かって声をかけると、ゆっくりドアが開いた。

「よう不二子。俺だ。」

次元はドアを閉めて無許可に部屋へ入った。

「入っていいなんて、言ってないわよ?」

「入んなとも言われてねぇよ。」

次元はクスクス笑いながら近くの椅子に腰掛けた。
ベッドの上に寝転んでいた不二子は体を起こし、ため息をつくとベッドの上に広げた紙を集めた。

「どうせこれを見に来たんでしょ?」

紙の束を出されると、次元はそれを受け取った。

「よくお分かりで。……。」

手に取ると、次元は口をつぐんでそのシステムが記された紙に目を通し始めた。

「ふーん…。んで?何でこんなもん盗みたがるんだ?たかが鏡だろうが。」

今回目当てのお宝は蒼い鏡。だがそれは宝石がついているわけでも、歴代の偉人が使用していた代物でもない。
何が良くてこんな莫大な値段がつくのか、次元はさっぱり分からなかった。
一通り目を通すと、次元はシステムを不二子に渡して、隣にぼすっと座った。

「いい値がつけば良いってことはないけど…直感で欲しくなったのよ。」

不二子はベッドの隣のサイドテーブルの上に置いてある小さなグラスからポッキーを取り出して、くわえた。

「それに、あなたたちからのクリスマスプレゼントもかねて…ね?」

システムを受け取ると、不二子は次元に向き合った。

「ったく…がめつい女だぜ。」

次元がため息混じりに言うと、不二子は次元の口からタバコを抜き取った。

「可愛らしい女が良かった?」

半分ほど食べたポッキーを、不二子はくわえたまま次元の前で動かす。
次元は目を丸くしていたが、すぐに笑ってそのポッキーをくわえた。

「何をいまはら。」

くわえたままの為に、少し言葉が濁ったが、気にせず一口、また一口とポッキーをかじる。

そして不二子の唇と自分のが重なるまであと数ミリのところで、次元はポッキーを折った。

「あら、珍しいわね。でもあなたの負けよ。」

不二子が嬉しそうに笑うと、次元はククッと喉を鳴らした。

「ゲームはここからだ。」

次元が自分の折ったポッキーのかけらを不二子の前に出すと、不二子は唇でそれに触れた。

「お前が勝ったらその鏡をやるよ。」

「約束だからね?」

次元は壊れ物を扱うように、不二子に優しくキスをした。




「ルパン、次元は?」

「ん?不二子んとこ行ったよー。」

「……。」

ガシャーン

「あ゙ー!!ちょっと五右ェ門!何で割るのよ!」

「あぁ…すまぬな。そのカップが後の次元の運命だと思ってくれ。」

「………え?」


-fin-

◯ポッキーゲームが
あんまり関係なかった(;_;)
無理やりクリスマスにした感が
否めない…(´;ω;`)
でも怒る五右ェ門を書くのは
やはり楽しいです*

Thank you for reading!!


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