いないいないばぁ!

「いないいなぁい…ばぁ♪」

「あのー…不二子ちゃん?」

「なぁに?」

「その赤ちゃん…どったの?」

不二子はリビングにいつの間にか置かれていたベビーベッドを覗き込んで、顔を両手で隠したり、開いたりしている。
そしてその目線の先には、小さな赤子がいた。
ルパンは意味の分からない状況に、頭上にクエスチョンマークを浮かべている。

「可愛いでしょ?誰の子だと思う?」

不二子は赤子の頬を人差し指でつつきながら微笑む。
赤子はきゃっきゃっと笑いながら小さな両腕を動かしていた。

「不二子ちゃん以外ってことしかわかんないなー。教えて?」

ルパンもベビーベッドに歩み寄り、赤子を覗き込む。
赤子はルパンの方に目を向け、微笑んだ。

「実はねー、五右ェ門と紫ちゃんの赤ちゃんなの♪」

「えぇっ!まじかよーっ!」

ルパンが急に叫んでしまい、赤子は驚いて泣き出した。

「ふ…ふぇーーっ!」

「あらぁよしよし、泣かないでー。」

不二子が赤子を抱き抱え、よしよしと背中を撫でる。
するとガチャとドアの開く音が聞こえた。

「なんだ?赤ん坊でもいんのか?」

「不二子殿っ、あまり泣かさぬよう申しただろうっ。」

リビングに入るなり、五右ェ門は不二子に駆け寄って赤子を抱く。
ルパンと次元はきょとんとその様子を見ていた。
申し訳なさそうに不二子は赤子の頭を撫でた。

「ごめんなさい。大きい音に驚いたみたいなの…。」

赤子はわんわん泣きわめいていたが、五右ェ門に抱かれると落ち着いて涙が止まった。
まるで父親に抱かれたように。

「五右ェ門?」

ルパンが後ろから五右ェ門の肩を指でつつく。

「なんだ?」

すると次元も寄ってきて、赤子を指差した。

「「お前の子なのか?」」

「はっ?」

声を揃えて言うと、五右ェ門は赤子に頬を触られながらも、2人の台詞に呆気にとられた。

「だって不二子がそう言ったし…。」

「その赤ん坊もお前さんにかなりなついているようだしな。」

ルパンと次元が顔を合わせ、頷く。五右ェ門はため息をついて不二子を見た。

「また馬鹿げた事を…。この赤子は紫殿の御親族。拙者の子ではござらん。」

赤子が「あー」と声を出した。五右ェ門は赤子を見て「どうなされた?」と優しく笑う。

「じゃあ何でその子がここにいんだ?」

ルパンが赤ちゃんにいないいないばぁをしている間に、次元が五右ェ門に問いた。

「先ほど紫殿にお会いして『この子を少しの間預かっていてほしい』と。赤子を抱いて修行は行けぬ。故にここへ連れてきたのだ。」

「んで不二子に見てもらってたってわけか。」

五右ェ門は頷く。

「左様。だが時期に紫殿が喫茶店に来られるのでな。拙者は少し留守にするぞ。」

ルパンは顔を上げて何やら残念そうな顔をしていた。隣にいた不二子も同じく。

「えーもう行っちゃうのかよー。」

「まだいてもいいじゃない。紫ちゃんも呼んじゃったら?」

次元はルパンと不二子を静かに抑え、五右ェ門に行くように促した。

「お前ぇらの方がガキじゃねぇか…。五右ェ門、行っていいぜ。」

「承知。」

五右ェ門は赤子を抱いて出ていった。


─その夜─

「それにしても可愛かったわねー、紫ちゃんの子♪」

夕食時に不二子がワインを飲みながら、うっとりとグラスのフチを眺めた。

「紛らわしい言い方をするな。」

隣に座る五右ェ門が箸を動かしながら言う。
するとルパンがニヤニヤしながらひじをついて不二子を見つめた。

「不二子ちゃんて、赤ちゃん好きだったんだねぇ。」

「私は可愛いものも好きなのよ。紫ちゃんだって大好き♪」

五右ェ門は少しむせかえり、ゴホゴホとつまった咳をした。

「はーぁ…あたしも赤ちゃん欲しいわぁ。」

その台詞に深い意味はなかった。
だがルパンと次元の目の色は、その言葉で一瞬にして変わった。

「不二子ちゃん、今日俺の部屋で寝ない?」

「いや、部屋の鍵を開けとくだけで十分だ。」

見るからに下心丸出しの2人に熱視線を送られ、その時不二子は墓穴を掘ったことに気付く。
五右ェ門は黙々と食事をしており、不二子は急に五右ェ門に飛び付く。

「五右ェ門ー、今夜一緒にいてくれない?」

首の後ろに手を回し、不二子は色気のある目で五右ェ門を見つめる。
五右ェ門は箸を落とし、不二子を凝視した。反射的に顔を赤らめ、不二子を離そうとする。

「なっ…何を申すか!離れよ!」

だがそれ以上に、五右ェ門の前に並んで座っていたスケベたちが焦り始めた。

「やっ、止めとけ不二子っ!五右ェ門はむっつりスケベなんだぞ!」

「そうそう!こいつだって男だ。やるときゃやるぜ!?見るからに狼じゃねぇか!」

「貴様等はやかましいわ!!」

五右ェ門は怒鳴り、すぐに自分の部屋に戻った。
不二子も後を追い、ルパンと次元も慌てながらついていった。

結局その夜、五右ェ門は不二子と寝ることになり、ルパンと次元はため息をついて同じ部屋で泣き泣き寝たという。


-fin-

◯赤ちゃんネタでした(^O^)
五右ェ門はいい父親に
なりそうですね…(´`)*
赤ちゃんに微笑む五右ェ門を
書いてみたかったのです。
そしてルパンと次元の扱いが酷くて
申し訳ありません…!
もっとイケメンに書けるように
努力致します(;_;)

Thank you for reading!!


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