お前を求めてしまっている
時は日も暮れようとしている夕方。
次元はソファーに寝転がり、煙草を吹かしていた。
ガチャ
誰かがリビングに入ってきた。
「何だ不二子。」
それはルパン一味の唯一の女性、峰不二子だった。
「あら、貴方1人?」
不二子は次元を見ると辺りを見回し、誰かを探しているようだった。次元にはその人物がすぐにわかった。
「ルパンなら今夜お邪魔する超高層ビルの視察だ。」
「あらそう。じゃあ五右ェ門は?」
「あいつは修行で出てった。そろそろ帰ってくる頃のはずだがな。」
チラと時計に目を向け、次元は煙草を灰皿に押し付けた。帽子を前にずらして視界に入る光を遮断し、眠りにつこうとすると、ソファーの真ん中に不二子は座った。
わざとそうしたのか、自分の腰の近くに不二子の体を感じる。
「…不二子。」
「なあに?」
次元は姿が見えない相手に声をかける。見えていない方が話せるからだ。
「お前は…今の立場で幸せか?」
これは峰不二子という立場でも、泥棒という立場でもない。それは不二子にも分かったが、敢えて惚けて見せた。
「幸せに決まってるじゃない。お宝に囲まれていきていくなんて。まぁいつも隣にあるわけじゃな…。」
「そうじゃねぇ。」
不二子の言葉に被せるように次元は言い、ゆっくり上半身を起こした。不二子と隣り合わせに座り、帽子の下から片目だけを覗かせてまっすぐ不二子を見る。
だが見つめるだけで、次元は黙っていた。すると不二子は次元の無言の催促に乗るように口を開いた。
「悪くないと思っているわ。表に出しすぎるより、裏にいる方が関係は深くなるもの。」
顔を寄せ、黒い男の目を見る。次元は不二子が首に腕を回してきても、何の抵抗も示さなかった。そして嘲笑するように息を吐いた。
「はっ…、確かにそうだ。」
ゆっくり次元は不二子に唇を寄せた。深く味わうように何度もそれを繰り返し、次元は優しく不二子をソファーに押し倒して唇を離した。
「お前みたいな女と関係を作るなんて、俺もヤキが回ったな。」
「何言ってるの?見る目があるじゃない。」
「よく言うぜ。ま、悪くはねぇな。」
「素直じゃないわね。」
「お互い様だろ?」
表に出さなくていい。本当ならば成り立ってはいけない関係なのだから。だからこういうときはゆっくり味わわせてくれ。少しだけでいい。表を全て裏地で隠せるときは。
「なぁ不二子。愛の言葉、捧げてやろうか?」
「貴方には似合わない言葉ね。…言ってみて。」
何も言わない女はきっと今を楽しんでいる。そして、
「…愛してる。」
気付けば俺もお前を求めていた。
「……。」
「ごえもーん!どったのそんな所で立ち止まっちゃって?」
「ル、ルパン!」
「さっきあの超高層ビルにな、社会見学行ってきたんだけどよ?なーんか遣り甲斐ありそうなのな!次元たちにも教えてやろー…。」
「まっ待てルパン!…こ、今夜は拙者と外食せぬか?」
「えー何でよ。早く次元たちに教えてーのにー。」
「それは今夜の楽しみということでいいではないか。相当警備の固い所なのだろう?全員で行くと銭形たちに嗅ぎ付けられるやもしれん。また次元たちとは後々落ち合おう。」
「うーん…、そうだなっ!んならあいつらには秘密ってことで行こうぜ五右ェ門!」
「あ…相分かった。」
(何故拙者がこのような事を…。)
-fin-
◯次元×不二子すきです(^^)
ルパ×不二子前提でもすき(笑)
互いに大人な雰囲気を醸し出す
2人に妄想がちょまりません。
天使の策略はやばかた…(´`)
Thank you for reading!!
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