相談事

「いいの?五右ェ門…。」

五右ェ門のベッドの上で、不二子は五右ェ門の頬に手を添える。

「武士に二言はないでござる。不二子殿…、よろしくお願い致す。」

五右ェ門は不二子の目を見据え、不二子に近づいた。

「私も久しぶりだから…あまり激しくしないでね?」

「承知。」

五右ェ門はゆっくり不二子の頬に触れた。

「なぁあぁにしてんのーっ!!!」

その瞬間、大きな音を立ててルパンがリビングに入ってきた。
五右ェ門は咄嗟にドアの方へ振り向き、斬鉄剣に手をかける。
そこには仰天しているルパンが、同じように驚いている次元と共にドアの前にいた。

「ル、ルパン!」

「お前には紫ちゃんがいるだろがーー!!!」

「お前らそういう関係だったのか…。」

目を見開きながら五右ェ門に向かって叫ぶルパン。半呆れたような顔の次元。
五右ェ門は慌てて不二子から離れて立ち上がった。

「ご、誤解でござる!不二子殿は拙者の頼みに付き合ってくれていただけであって…。」

ルパンはヅカヅカと五右ェ門に詰め寄った。ギッと睨みながら、ルパンは下唇を出して眉間に皺を寄せる。

「じゃあ五右ェ門の頼みって何なんだよっ?」

五右ェ門は少し身を退け、顔を赤らめて目を逸らした。
すると2人の間に挟まれていた不二子がため息をついて、ルパンの服の裾を引っ張った。

「五右ェ門がね、傷付けないよう紫ちゃんに接する方法をあたしに聞いたの。だから本番までいかなくていいから、シチュエーションだけやってあげようかなって。それだけよ。」

ルパンは唖然として不二子を見る。そしてその視線を五右ェ門に戻す。

「傷付けないように接する?」

「む…だから、つまり…。」

五右ェ門がしどろもどろに言おうとすると、次元が笑いながら不二子の隣へ腰掛けた。落ち着きを取り戻したように、ゆっくり煙草を取り出してジッポーで火をつける。

「だからあれだろ?紫ちゃんとお前さんは子作…。」

「斬るぞ貴様!!!」

瞬く間に斬鉄剣を鞘から抜き、斬鉄剣の先を次元の前に突きつける。
次元は死ぬかもしれない状況にも関わらずへらへらと笑ってみせた。五右ェ門は手のひらで転がされているような気持ちになり、余計に怒りのボルテージが上がる。
するとルパンが五右ェ門の肩を組んで、ニカッと五右ェ門に笑いかける。

「そかそかー。いい心がけだぜ五右ェ門?でもな、まずはそういうのは経験者の話を聞くところからじゃなきゃなー…。」

ウンウンと1人で頷きながらベッドの横にあった椅子に五右ェ門を座らせ、ルパンも椅子を持ってきて向かい合わせに座った。

「さて!何でも聞きたまえ五右ェ門君!!大先輩ルパン三世様が君の疑問全て解消してあげよう!!!」

五右ェ門はまた紅潮し、喉で唸った。真横でニヤニヤしながら足を組んでいる次元と、少し心配そうに五右ェ門を見つめる不二子がいた。

そして観念したのか、五右ェ門は固く閉じていた唇を開き、小さな声で話し始めた。

「拙者は紫殿と婚約してもう随分経つ。本来ならばもう子に恵まれていてもおかしくはないのだが…、どうにも紫殿を傷付けてしまいそうで怖いのだ。拙者は、その…そういう色事には慣れておらぬ。」

少し吃りながら五右ェ門が言うと、ルパンは五右ェ門を凝視していた。

「五右ェ門。お前が女関係について疎いことは知ってる。んでお前が優しいことも、紫ちゃんを大切に思ってることも知ってるさ。でもな、」

五右ェ門はルパンと目を合わせると、ルパンは意外なほど真剣な眼差しをしていた。五右ェ門が真剣に悩んでいると分かったからだ。そしてルパンは続けた。

「きっと紫ちゃんはお前を待ってると思うぜ?五右ェ門のその照れ屋な所にも惚れたんだろうが、やっぱ結婚したんだからよ、1つになりたいっつーか特別な事がしたいのさ。そこはお前さんが紫ちゃんの男として、腹くくっていかなきゃな。大丈夫だよ!『傷付けたくない』って気持ちがあんなら絶対傷付けねぇさ。お前はそういう男だ。」

五右ェ門は小さく頷くと、椅子から立ち上がってルパンに微笑んだ。

「感謝する、ルパン。まさかお主にこのような形で世話になるとはな。」

「素直にありがとう、だけでいいんだよ?」

ハハハ、と笑いながらルパンは五右ェ門を見上げる。
五右ェ門は何も言わず部屋から出ていった。

バタン…

「五右ェ門も苦労するねー。」

ルパンが笑いながら内心、心配そうにため息をつく。次元はベッドに寝転び、寝る体勢をとった。

「まぁ何とかやるだろ。やればできる子さ、五右ェ門は。」

「貴方達、五右ェ門の保護者みたいね。」

クスクスと笑いながら不二子は2人を見る。
ルパンと次元は目を合わして微笑し、無言の言葉を交わした。

「ま、そういう不二子もだろ?」

不二子は髪を耳にかけ、ルパンを色気のある目で見つめる。

「そうかもしれないわね。」


-fin-

ファミリーの日常のお話。
これは五右ェ門が頼みで
わざわざ不二子に会いに来たわけで
既に紫ちゃんとは同棲している
という設定です(´`)
口説くてすみません!(汗)
ごえは稀に子供ぽくなるので
ファミリーが親に見える…
いつの日か五×紫の
大人なお話も書きたいです*

Thank you for reading!!


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